中編
「……という話」
ニューラグーン学園高等部の図書館に併設している小さなラウンジ。
その一角に、ニューラグーン学園高等部オカルト・ミステリー研究会、通称『オカミス研』研究発表会がおこなわれていた。
「ふうん、だから朝から校門とか大学部だ大騒ぎだったのね。
それでミステリー要素はわかるけど、どこにオカルト要素があるのかしら?」
と言うのは、『
このオカミス研の紅一点で、ショートヘアの男女から以上にモテまくるクールな美貌の高等部2年生。
「それがね、装飾品の中に、『時使い《クロノマスター》の指輪』ていうのがあったんだよ」
と興奮気味に返しているのが、『
奏と同学年で、クラスも同じ。平均が服を着たような男だが、自他ともに認める通称は『情報屋』。
その2人の傍らで、
モシャ、モシャ、モシャ
と、喋りもせずにクッキーを食べているのが、『ダギー』。
本当は長たらしい名前があるのだが、
「そんな長い名前で呼びづらいから、ダギーでいいや」
と、猫なのに犬みたいな愛称が付けられた、無口で小柄な高等部1年生。
(といっても、頭についた猫耳くらいしか猫である部分もない)
以上3人がオカミス研、またの名を『女王奏とその従者たち』である。
「ふうん、それで?」
と奏は、フレームレスの眼鏡のブリッジ部分をくいっと抑えながら聞く。
「うん、それがね、その指輪には『エリーへ』という文字が彫られてたのだけど」
「ふむふむ」
「そのエリーていうのが、殺されたマイクの婚約者と同姓同名だったんだよ」
モシャ、モシャ、コク、コク(クッキーを食べながら、首肯)
「ここからは俺の推測だけど、この2人のエリーは何かの繋がりがあると思うんだ」
秀が自信満々にいうと、奏は小首を傾げて、
「たとえば?」
と、畳みかける。
「うーん、そこはまだわからないけど……」
「ふむ、ここはヒィ先輩に聞いてみるしかないわね」
ヒィ先輩とは、先輩とは言うものの、大学からこの学園に入学した猫で、奏とダギーの
しかし、まあ癖の強いキャラなので、3人とも尊敬しているけど、あまり会いたくなかった。
というわけで、
「「「ジャンケン、ポーン!」」」
奏と秀はグー、ダギーはチョキを出す。
「はにゃ……!」
「はい、ダギー行ってらっしゃい」
「まあ、今回は大学の話だから短いはずだよ、ははは……」
「じゃあ、この話はヒィ先輩待ちで
つぎの話は、漫研の
と、奏はチャンドラーの『
「やおいで読むチャンドラー」
「その話、俺らいるかなあ……」
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