僕の城は6畳もあればいい

第1畳小鳥遊秋人の日常

「カタカタカタカタ」。

 薄暗い部屋に眩しく光るPCの画面を睨みながらキーボードを弾く。

「今期は続編ばかりで新規で有望なのは「俺の妹が天才絵師でパンツ大好き変態さんなんだが!?」略して「俺妹変」と低予算ながら爆発的に人気急上昇中の「どうぶつとともだち」ぐらい……」。

 コンコン……。

「ん?」。

 部屋のドアをノックする音にPCとのお喋りを中断させられ振り向くと扉の向こう側から本当に人が居るのかと疑問を抱きながら怖々と囁く少女の声が聞こえた。

「あの……すみません、小鳥遊たかなし君?居ますか?」。

君」そう呼ばれた瞬間僕は引きこもりの直感で一目散にベッドに潜り込んだ。

 続けて彼女は囁く「私、同じクラスの倉崎くらさきです、覚えてますか……?」。

 倉崎……クラスメイトと言っていたけれど全く分からないぞ?そんな名前の奴居たっけ?アニメ関連とゲームの情報で容量パンク寸前の脳をフル活用して思いだそうとするが全く以て記憶にない……あ、何だそうか分からなくても仕方が無い、何故かって?それは僕が高校に入学して1週間で不登校になり現状に至るまでクラスメイトと言う存在が僕にもいた事させ忘れていたからだ……。

「…………。」。

 僕は彼女の問い掛けに無言のまま早く帰ってくれと心の底から願っていた。

「……あの、今日は帰りますね、また来ます……。」。

 僕はそう言って帰る倉崎の後ろ姿を、カーテンの隙間からから覗く。

「あぁ、倉崎ってアイツと仲が良かった倉崎咲か……。」。

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