第5話
「......というわけでクルシュさんは私の後を引き継いで神様になったのでした!ちゃっちゃらーん!!」
「ぇ━(*´・д・)━!!!」
マーシャの説明を聞き、顔文字になるファズ。
そんな俺たちは今、魔法使いを倒す旅に出たのだが、俺は何をしていいのか全く分かっていない。
というか、まだ山から出ていない。
「なるほど、私の魔法が効かなかったのはまだ私のレベルが足りてなかったってことね」
「その通りなのです!」
いつの間にか2人も仲良くなっているようで、並んで歩いていた。
美少女2人が一緒に歩いているという画だけで、お腹いっぱいです。
ごちそうさま!
「マーちゃんって呼んでいい?」
「じゃあ私はフーちゃんで」
う〜ん、仲良くなりすぎじゃね?
出会って半日もたってないのにこんなに仲良くなれるとか、コミュ力高いね。
俺は、高いか低いか以前に師匠とファズとマーシャとしか喋ってないからなぁ。
俺もあだ名で呼んでみよう!
「なぁ、フーちゃん!マーちゃん!」
「「気安く呼ぶなよ」」
「んんんんんんんんん???」
あれ?
なんだこの格差?
なんでそんなに睨むの?
なんで唾吐き捨てるの?
なんで地面にある石拾うの?
「あだ名呼んだだけでこの仕打ち!」
「だってあんたに呼ばれるとさ......」
「クルシュさんに呼ばれると......」
モジモジと体を動かす2人。
あぁ、これもう分かっちゃった。
2人とも俺の魅力に落ちちゃったってことか。
「「無性に腹が立つ(立ちます)」」
「えぇ......お前らそれはひどいわぁ」
と、またおしゃべりを始めるフーちゃんとマーちゃん改め、ファズとマーシャ。
「会話に割り込むようで悪いが、俺たちは今どこに向かっていて、何をすればいいんだ?」
「お答えします!」
びしっ!
っとポーズを決めるマーシャ。
神様という地位が無くなったからか、結構テンションが高くなっている。
「まずはここからさらに森を抜けた先にある、サイコスという街にいる1番強い魔法使いをぶっ倒します!」
「ほうほう、んで名前は?」
「マクテリア家の、シス・マクテリアさんです!」
「(A;´・ω・)アセアセ」
シスという名前を聞いた瞬間汗を拭うファズ。
ん?
マクテリア?
どこかで聞いたことあるような、ないような?
すると、ファズが俺の元にやってきて、目を潤ませ、上目遣いでこちらを覗いてくる。
「クルシュ、私ずっとあなたの事が......!」
「何を隠してる?」
「((´(´・(´・_(´・_・(´・_・`(´・_・`)えッ...」
疑問を浮かべ、焦ったような態度でふわりと宙に浮かび、飛び立っていくファズ。
「クルシュさん!GO!!!」
ドゴォン!!!
俺が地面を思いっきり蹴り、ジャンプをすると、魔法使いの浮遊の魔法と同じくらいの高さに到達した。
そして俺はファズの足を掴むと、
「捕まぁえたぁ」
「(((٩(๏Д⊙`)۶)))ぎゃーーー!!!」
1人の体しか浮かすことの出来ない浮遊魔法に2人分の体重が加わったことにより浮遊魔法の効果が切れ、2人仲良く地面に落下する。
「よいしょっと!」
「((^ω^≡^ω<ギャアアアアアアア」
俺は加護のおかげで無事に着地するが、ファズは真っ逆さまに地面に衝突してしまった。
旅に犠牲はつきもの......
「お見事です〜」
パチパチと手を叩くマーシャ。
こいつ、見てたんなら何かの魔法で助けてやれよ......
「お前、いい性格してるよな......」
「よく言われます!」
喜ぶマーシャ。
だがこの言葉を俺は褒め言葉として扱っていない!
「んで、ファズは何で逃げたんだ?」
いてて、と言いつつ、お尻を撫でるファズ。
......普通、いててじゃ済まない。
目を向けると堪忍したようにゆっくりと口を開く。
「シス・マクテリアは私の兄よ」
「ん?お前の名前、ファズ・マクテリア......あぁ、そういやお前、いいとこのお嬢様って言ってたもんな」
「だから、今回の件、私は力になれないと思う」
「そうだよな......」
自分の兄を倒せと言われて肯定するやつなんて、相当の恨みを持ったやつにしかできないことだろう。
ファズは性格はあれだが、中身に優しさを持っている。
流石に自分の身内と戦うのを良しとは思わないだろう。
静かになる3人。
しかし、先に口火を切ったのはマーシャだった。
「......丁度いいので、フーちゃんを囮に使いましょう......」
「シリアスどこいった!?」
シリアスっぽい雰囲気で喋り方もシリアスそのものなのに、要求が外道のそれと全く変わらない。
流石にファズもこれは怒るだろ......
「d(ゝω・´○)」
「いいのかよ!!!」
こうして俺たち3人はファズを囮にシス・マクテリアを倒す計画を立てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます