第3話
「えぇっ!?結構すごいこと頼んでるつもりだったんですけど、意外とそうでもなかったですか!?」
「いや、結構すごいこと頼まれたよ?」
「ですよね!?」
神様になるというのがよく分からないからちょっと生返事で返してしまったかもしれないが、別に断るつもりもない。
神様というのに興味が無いというと嘘になる。
「な、なるほど......ではあなたを神にします。えい!」
俺の心を読んだと見られる神様は俺に向かって魔法をかける。
特に変わった変化はないが、そんなに簡単に神様になれるものなのだろうか?
「俺って今神なの?」
「そうですね。そして私は神の力がないので普通の魔法使いと一緒になりました」
どうやら、神様は2人同時にこの世にいられないようで、権利のようなものは移行されるみたいだ。
確かに後光のようなものが消えているから神様ではなくなったのだろう。
ん?
普通の魔法使い?
「んじゃ浮遊の魔法は?」
「きれます」
ハハハハ!!
おっちょこちょいめ!
俺もお前も地面にダイブしちゃうよ?
「血の海が見たいのか?」
「真顔で言われるとそれはそれで怖いです。でも安心してください。私は神の力で魔法効果の増大の加護が付きました。恐らくクルシュさんも何かの加護がついたはずです。さぁ、私を助けて!」
図々しいなこの元神様!!
しかし言われた通り意識してみると分かる。
俺についた加護はどうやら......
「ーー筋力増強みたいだな。ふんっ!」
元神様を小脇に抱えて地面に着地する。
普通なら死んでいた高さだが、筋力増強の加護のおかげでなんの支障もなく着地することが出来た。
「加護すげぇ!?」
「戦闘力10万......11万......まだ上がるのか!?」
「途端に自由だなおい!!」
「ちょっとはしゃぎすぎました」
こほんと一つ咳払いをして、真面目な顔になる元神様。
その真面目な表情につられ、俺も思わず静かになってしまう。
「魔法使いを......」
ゴクリ。
元神様はしっかりとタメを作り、息を思いっきり吸い込み、
「ぶっ倒しましょう!いえーい!」
「わー......」
出会ってから一番の笑顔でとんでもないこと言ってるよこの子......
「ちょっと待ったー!!!」
その時、上から声がしたので見上げるとファズが浮遊魔法で飛んできたようで、ふわりと浮かんでいた。
パンツ見えた、やったね。
髪の色と同じで青色のセクシーパンツだった。
いいもの見させてもらいました。
そして着地すると俺、ではなく、元神様に詰め寄る。
「あんた一体誰?」
「おいおい、失礼だぞ、元とは言えど神さ......」
「私は!......マーシャと言います。クルシュさんとは色々複雑な関係があるんです」
俺の言葉を遮る元神様もとい、マーシャ。
確かに神様だってバレたらまずいかもしれないから言わないのは得策かもしれない。
「複雑な関係!?て言うかクルシュどこ行ってたの!?」
顔を真っ赤にしながら怒ってくるファズ。
まぁ人が消えたらそりゃ驚きもするだろうな。
しかし、「神様になりました」
「(´・д・`)ホヘー」
とはならないだろう。
うまい言い訳をしようにも状況がイレギュラーすぎて全然言葉が出てこない。
「じ、実はクルシュさんは私の異母兄妹なんですよ!それでお父さんに話を聞き、クルシュさんを探す旅に出たわけです。そしてあなた方を見つけた時にファズさんがクルシュと呼んでいたので、2人きりになってクルシュさんに説明しようと思って連れ出したんです......ふぅ」
「な、なるほどね」
す、すごい!!
なんて口から出任せだ!
こんなありもしないことをスラスラと言えるなんてもはや才能だな。
ただ、マーシャのドヤ顔が滅茶苦茶腹立つので正直物理パンチしたい。
「......でも、クルシュは私のこと名前で呼んでたけど、私はクルシュのこと名前で呼んでないような?」
「......よ、呼んでましたよ?えぇ、確かに呼んでましたよ。若年寄ですか?大変ですね」
「(^ω^#)」
や、やめろ!
マーシャの毒舌のせいでファズの血管が浮き出ちゃってるから!
マジで爆発する5秒前だから!
「と、とにかくだ!!ファズ、俺と勝負の続きをしてみないか?」
「この恨み、全部あんたにぶち込むわ!!」
......ホドホドニネ?
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