第21話 わからない
日に日にミヤさんの様子が変わっていく。あんなにお喋りだったのに、話しかけてもこなくなった。
イライラしているかと思うとぼんやりしていたりする。もともと気が強くて声を荒げたりすることはよくあったけど、なんというか、感じが違う。重みが違うというか。重症な感じ。
みんなの様子は普通だ。だから僕もあえて言いださなかった。
だけど、たぶん、僕はミヤさんに避けられている。
なんだかよくわからないけど、ミヤさんは僕と顔を合わせたくないみたいだ。
どうしてだろう。
それまでは、普通に接していたのに。
四人がローテーションでつきあってくれていた散歩も、ミヤさんはときどき抜けるようになり、すぐにまったく出てこなくなった。
サアルは、まったく変わらない態度でいてくれる。大和も、まあ、変わらない。
アトとは、ミヤさんの様子がおかしくなってから、なんとなく話しづらくなってきた。前のように一緒にくだらない話で盛り上がったりしなくなった。
寂しいけれど。
僕は、やっぱりみんなに迷惑をかけているんだろうなあ、って思う。
どうすればいいかな。
僕は、みんなの役に立ちたかった。なんでもいい。面倒をみてもらうだけじゃなく、僕もみんなのために何かやりたい。
リビングを掃除してみたり、以前キクエさんを手伝っていたようにキッチンの仕事を手伝ってみたり。
だけど、なにか違うんだ。こういうことじゃない感。
『高太郎は、きみに何をしたんだろうね』
という言葉が気になってしょうがない。
僕は「おじいちゃん」に何をされたんだ?
いや、あれは夢だ。
でも夢は、きっと僕の心の深くにある何かに起因しているに違いない。
僕に対して、みんなが期待している「何か」がある。僕はそれを見つけなきゃいけない。いや、取り戻すのかな?
「知っているはずの潜り方」を思い出せれば、解決しそうな気がする。
なんとかしたい。
焦る気持ちがだんだん強くなっていく。
だけど、僕はどうしたらいいのかわからない。
わからない。
わからない。
本当に、わからないんだ!
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