第2話 幼馴染も悪くない
ヒューマンは特別な能力を持たないため他の種族と対等な位置関係にあるべく、ヒューマンの子供には教育が施される。
それはガクもリノも変わらない。
男女の授業内容には違いがあり、男は剣術と学問。女は武術と学問になっている。
この違いは、大昔の戦いで男のヒューマンの勇者が剣を振るい、女のヒューマンの勇者が拳を振るったためだと言う。
「ねぇねぇガッくん、剣術って楽しい?」
ふいに言われ、答えに詰まった。
別に剣術が楽しくない訳ではないが、かといって楽しい訳でもない。
「んー、まぁまぁかな」
「まぁまぁねぇ。まぁ、その感じで剣術の腕前がトップってことは嫌々やってるわけじゃなさそうね」
「逆にリノはどうなの?武術」
「大好きよ、だから成績もトップクラスに入ってるんじゃない」
「そっか…」
少しうつむいて答えた。
正直、体を動かすことは好きではないと思う僕には彼女が少し、羨ましく感じた。
勉学に励めば、それでいいじゃないかと思うが父親がアレなのでそうもいかないのが難しいところだ。
「あっ、学校見えてきたよー」
前を見上げると、木造の明るい色の校舎が見えてきた。ヒューマンの種族の建築物は殆どが木製だ。それはヒューマンの住む土地が木の資源が豊富であるためだ。そのため、建築物の他に剣術や武術で戦う自動人形はもちろんのこと、稽古で使用する剣も木製だ。
袋の中には剣術で使う木刀が入っている。
その袋に目を落とし、再び前を向くとリノが僕に顔を近づけながら黒い瞳を輝かせ
「じゃあ、今日も一日頑張ろうね!」
と、激励の一言を言ってくれた。
幼馴染も悪くない…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます