7話電話応対
4月下旬のある日の朝礼の時でした。
「あのう前々からみなさんから言いたいことがあるんですけど」
総務部の坂田さんが言いました。
「私ばっかり電話取らせないでくれます?私も仕事あるので。ある会社から電話取るの遅いとクレーム来たので、もし電話の近くにいましたら極力早い段階で取ってください」
坂田さんは強い口調で訴えてました。しかし、私は電話応対は大の苦手なのでできるのか心配になりました。ある日の昼休みに部署の携帯電話が鳴りました。私は心の準備ができずオロオロしました。電話を取ろうとしたら電話が切れました。
「次こそは取らなきゃ」
数日後、電話の近くで仕事をしていました。そこで電話が鳴ったので取りました。
「はい、○○株式会社の中部と申します」
訓練所通所中に電話応対の講座に参加した時に3コール以内に出なくてはいけないルールを学んでいたのでそのことが頭にありました。
「Dコーポレーションの山田ですが」
「Dコーポレーションの山田様、いつもお世話になっております」
「高梨様はいらっしゃいますか?」
「高梨ですね。少々お待ち下さい」
電話応対中はずっと心臓がバクバクしていました。
「Dコーポレーションの山田様から高梨さんはいませんかとのことですが……」
私が言うと
「どっちの高梨さんなんだよ?2人いるんだぞ?」
幹部社員の高梨さんから言われ
「(しまった……。高梨さんって2人いること忘れてた……)」
「もういいから俺が出るから」
後のことは高梨さんに任せました。その時の私は泣きました。
「これだから電話応対は苦手なんだよ……」
「でも受け答えしっかりしてたよ?」
「そこまでできたなら大したものだよ」
業務部の先輩社員と坂田さんに言われました。
「中部さん、早い段階で電話取ってたわよね?最短記録更新ね……負けたわ……」
これにより少し自信を持ち、数日後、コール音が若干違っていました。これは内線でした。この日も偶然電話の近くにいたので
「はい、中部でございます」
「あのう、小池さんいませんか?」
「少々お待ち下さい」
私は小池さんに内線だと伝えましたが
「一体誰からなんだよ?」
またもや高梨さんに言われました。
「すいませんが名前言ってもらえませんか?」
「加藤ですけど」
私は加藤さんから小池さんへ内線と言いました。そこで高梨さんが
「加藤、あいつは名前言わないからなぁ……」
数回電話応対のしたことにより電話応対も少しできるようになりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。