たべる
適当に店を決めて、入った。
参鶏湯を頼んで、来るまで待つ。
「何か、最近いいことあった?」
突然ユキが聞いてきた。なんだその質問。
「んー、いいこと...いいこと...あったらいいなぁ」
君とね、と言いたいとこだけど。
なんでそんな寂しいこと言うの、と笑われた。寂しいのか、私...
参鶏湯が来た。お互いに写真を撮る。だけどこの写真を公開する訳でもない。だけど、撮る。
ユキは小食だ。その上運動もするからスタイルが良い。見習うところばかりだ。
食べ始める。隣の女の子2人組が彼氏の悪口を言い合っている。携帯のパスワードを変えただとか、連絡をしても返事が遅いだとか。きっとその男、浮気してないにしろ他に好きな子いるんだろうな、とか考えてると可哀そうになってきた。
別れちゃえばいい。
でも、それが自分の事となると、そう簡単にもいかないものだ。
私も昔は...
「キキ?どした?」
ユキがこっちを見ていた。ずいぶんぼんやりと脱線していたようだ。
「ごめん、ボーっとしてた」
「早く食べないと、冷めちゃうよ」
笑ってそう言って私の器によそってくれる。
美味しい。だけど彼とご飯を食べているとお腹がすぐに満たされる。どうしてなのだろう。
はぁ、目の前にユキがいる。この時間はあっと言う間に終わってしまう。
「美味しいね」
「うん!美味しい」
きっと今週一の笑顔を見せてしまいながら、私は鶏肉を食べた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます