じかん

君は大体遅れてくる。

それにより、私はいつも待っている。

山手線が新宿に差し掛かったあたりで、連絡が来た。


ごめん!10分くらい遅れそう!もう電車に乗った?


ほらね。乗っていますとも。後一駅で新大久保ですとも。

ふぅ、と溜息をついて、待つ間何をするか考える。

音楽を聴きながら、返事を打つ。


わかった!大丈夫、ゆっくり来てね!


社交辞令を送ったあたりで駅に着いた。さて、どう待つか。

急いでも無いのに階段を駆け下りる。そんな気分なのだ。

改札を出ると、傘を差した人々が待っている。

私もとりあえずその仲間に入る。そして適当に携帯を扱う。

考えるのは、君が私を見た瞬間に変だと思われないように綺麗な態勢を崩さないことだ。

電車から降りた人の波がくる。まだ彼はこの波にはいないだろう。

次の波が来る。ここにもいない。何度か波がくるがまだ来ない。

と、目の前に誰かが立つ。

「ごめん!待たせたね」

顔をあげると君の顔がある。あぁ、綺麗だ。ずるい。

笑って首を振って、私達は歩き出した。

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