1章:違血の目
1.俺は行きたくない。
俺は
東京のA地区でも最難関レベルとされる
しかし、5月中旬に学校は休みがちになり、6月に入ってからは完全無欠の不登校となった。理由は聞かないでくれ。
現在は、A地区の南の方にあるA-3区のとある小洒落たマンションの一室に、1人で住んでいる。もちろん寂しくなんかない。
実家は、東京のC地区にあって、かなり遠い。もちろん悲しくなんかない。
そして、先週の金曜日に幼馴染の
「別に良いじゃない。流出するわけでもないんだし。細かい男は嫌われますよ〜」
「よかねぇよ。……っておい!まだ保存してたのかそれ!」
椎奈は、いい笑顔で俺の恥ずかしい写真を見せてくる。とても良い性格だと思います。
「ありがとう。よく言われるわ」
この娘はたしかに可愛いし口ぶりもおしとやかって感じで一見性格が良さそうに見えるがそれは間違いだ。見て、この俺へのからかい。この俺だけに使われるからかい口調。
「あっ、手元が狂ってあんたの寝癖写真が共有BOXに……」
「椎奈って本当に可愛いし性格良いし料理上手いし可愛いよねー」
「可愛いを2回も言ってくれて嬉しいわ。……あんたも、制服似合ってるわよ」
………っ。ずるいよなぁ。
「……ありがとよ」
さて、普段なら家でダラダラしたりゴロゴロしたりしてる日曜日に、俺と椎奈が会っている理由はというと、椎奈が勤めている異能者警察組織PUに俺がスカウトされたらしいので、今から研修に向かうとのことだ。
まず俺の能力を知らされていない時点で謎だし、いきなりすぎて脳がごちゃごちゃしていて全く整理できていない。
ちなみに俺は異能者なのかと親に電話したら、あっさりそうだと言われて電話を切られた。それから3回ぐらいかけたが出なかった。理不尽だ。
とにかく俺は異能者で、PUにスカウトされて、今から研修に行くという事実だけを抱えて、椎奈と歩いている。
「駅からだいぶ遠いんだな」
「もう見えてるわよ」
「え?」
そんな建物どこにも見えないんですが。
「ああ、まだ局長に会ってないから隠されてるのか」
そう言うと、椎奈はホログラムを呼び出し、誰かに電話をかけた。
「もしもし、司令課の照葉です。狩野誠士郎を連れて来ました」
「ご苦労さん。今範囲を変更するよ」
椎奈が電話を切り、こちらに向きドヤ顔を決めてくる。なんだなんだ。
「私はあんたが驚く方にアイス1つ賭けるわ」
「驚くってなんだよ。意味わからん。てか今の電話の相手は…」
「じゃああんたはあんたが驚かない方にアイス2つね」
話聞けよ!
「いや、まず俺の質問………に…………?」
先程まで俺達のいる約10メートル前方には、やけに大きい空き地しかなかったはずだ。なのに!なんで建物が現れてきてんだ!?
「な、なんだよ!あれ‼︎」
「はい、私の勝ち〜。バーゲンダッツ2つ買ってね」
俺は、椎奈が指定してきたやたら高いアイスクリームのことなどぶっ飛ぶくらいに信じられない現象を目の当たりにして只々、立ち尽くしていた。
なんだよあそこ。い、行きたくない!
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