プロローグ3

「い、一緒にっていうのは、その、PUでってことだから……勘違いしないように」


 何を勘違いするのだろう。そこら辺をもう少しきちんと説明してほしい。お願いします。


「とにかく!PUに入る気はあるの?まあ誠士郎のことだからええ〜めんどくせぇとか言って逃げるんでしょうけど」


 あああ!先回りされたぁ!やはり油断できる相手ではないな。


「そ、そそっ、そんなこと言うわけないだろ?入るに決まってるじゃん!おっかしいな〜椎奈は。ははっ」


 決して動揺なんてしてないからな。その証拠にほら、足がリズミカルに震えているだろ?


「普段のあんたならそんな世界一有名なネズミみたいな笑い方なんてしないけど……まあいいわ。言質げんちもとれたし」


 ちょっと待て。椎奈さん、そのカバンから出しているICレコーダーみたいな物はなんでしょうか?


『そ、そそっ、そんなこと言うわけないだろ?入るに決まってるじゃん!おっかしいな〜椎奈は。ははっ』


 ああああああ‼︎バッチリ録音されてるぅぅ!!っていうか自分の声って客観的に聞いてみると死にたくなるな。


「目的はなんだ…」


 俺がカッコつけながら言うと、椎奈はまたもぷふっと笑い出した。なんだよ。


「そんな昔のバトル漫画の主人公みたいな髪型しながら言われても……ふっ…ふふ」


 あ、やば。俺髪乾かさずに寝たわ。俺はすかさず手を空中でフリックしホログラムを呼び出し、その中にあるカメラを起動し内カメラに設定すると、そこには某少年漫画の主人公みたいな髪型をした男が映っていた。誰だ、このダサい奴。ははは、俺だ。


「くぅ………っ。だから来たとき笑ってたのか……っ」


 俺は唇を噛み締めると洗面所に飛んでいき、急いで水を溜め、そこに頭を突っ込んだ。

 そして水を流し、ドライヤーで乾かしまくる。うん、完璧。


「早かったわね。うわっ、ビショビショじゃない…」


「最近では水浸しファッションが流行ってるらしくてな。どうだ、流行に乗っかる俺」


「最高にダサいわよ」


 セイシロウの心にクリティカルヒィィィット‼︎‼︎セイシロウの心が折れた‼︎


「……それより、なんでいきなりPUなんだ?俺別に異能者じゃ……」


「あれ、言ってなかったか。あんたは異能者なのよ」


 ………はい?…あれか、俺今夢見てるのか。そうなんだな?


「夢じゃないわよ。ほら痛いでしょ?」


 俺の頰を椎奈が親の仇をとらんとばかりにつねる。痛い痛い!


「いてぇよ!」


 俺が椎奈から一歩退くと、椎奈は名残惜しそうに自分の手を見つめた。おお、やっぱり美人だな。


「結構柔らかかったわ……」


 で、出ました!上目遣い!これで何度俺が落とされかけ………っとあそこにUFOが‼︎


「な、なんだ?俺の頰がたるんでるって遠回しに言ってるのか?」


「いや、あんたは輪郭シュッとしてて顔のつくりもいいから……イケメンって部類に入ると思うわ」


 あらやだ、褒められてる。セイちゃんうれぴぃ。


「あとは性格……ごほんっ、風邪かしら」


 聞こえるように言ったよね?あとほんとうに風邪の人は咳したあとにそんなニコニコしないから。


「あんた今週の日曜日暇よね」


 なにそのイエスしか選択肢がない質問。


「い、いやー、その日はちょっと都合がつかなくて……」


「クラスに誠士郎がラノベ作家だって言いふらすわよ」


「365日オールフリーです」


「よろしい」


 ああ!俺の弱さよ!


「日曜日になんかあんのか?…ってか俺が異能者って本当なのか?」


 俺は確か無能者だ。異能者は異能者からしか生まれない。うちの両親は無能者なので俺だけ異能者とかありえないはずだが…でもここで椎奈が嘘つく必要も無いわけで…。


「だから行くの」


「は?」


「日曜日に、PUに」


「はぁぁあ!?」

















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