第1話私は誰
私は誰だろう。
目が覚めたらここにいて、不思議な感覚がして、良くわからなくて。
体は軽くて首は痛くないし、肩もこってない、腰も痛くない。最高じゃないか。
下を向くと視界に小さな手と金色の長い髪の毛が入ってくる。なんてきれいな髪の毛なんだ。
「あー」
少し声を出してみる。なんとかわいい声なんだろう。
「おっ、お嬢様!!」
声のした方を向くと、メイド服を着た女の人がドアの近くで驚いたような嬉しいような顔をして震えている。お嬢様?
「いっ今すぐ、お医者様を呼んできますね!!」
そう言ってメイド服の女の人は消えてった。
私が病人なのは本当らしい。
しばらくすると白衣を着た人がやって来て色々聞かれた。どこも辛くない、熱もない。それを確認すると白衣の人は安心した。
いまいち状況がつかめないから白衣の人に聞いてみた。ここはどこ、私はだれ、今まで私はどうなっていたの、と。
白衣の人は少し驚いて、ここはあなたの家で、あなたはここの娘で、流行り病で一ヶ月間寝たきりで目を覚まさなかったと。それで記憶が混乱しているようだと言った。
白衣の人はもう大丈夫だよと言って部屋から出ていった。
私は相当なお嬢様らしい。
メイドさんがいて、医者がわざわざ部屋にまでやってくるほどのお家の娘らしい。
どういうことだ。
それを知って妙に納得したりしなかったり不思議な感覚がする。
どういうことだ。
私は私じゃないの?今の状況では納得できないの?
私は何者?
目覚める前は私はお嬢様じゃない何者かだったの?
でも落ち着くようなきもするし、ここが私の部屋だってことも納得できる。でもできなかったりもする。
ただ記憶が混乱しているだけ?
それとも私はこれじゃない何者かなの?
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