空へ

伊勢 優馬

空へ

僕は何回、夕焼けを見てきたのだろう。


そこから放たれる全てを燃えつくしそうな色とその広大さが、


いつも僕を魅了して止まなかった。


今日の夕焼けもとても美しい。


きっとこれが、自分が見る最後の夕焼けだ。


ああ、なんだか切ないなぁ。


君にも見せてあげたいよ。


そっちでは元気にしているか?


君がいなくなってしまったあの時から、


僕の生きる楽しみは夕焼けを眺めることだけとなってしまった……。


子供達も元気にしているといいな。


最期にもう一度、彼らの顔も拝んでおきたかったが、


それはどうも叶いそうにない。


でも、まあいい。


また会えるさ。


こうして色々考えていると、


僕の生涯は平凡なものだったのかもしれないなと思うけれど、


君というパートナーと出会えて、子供達にも恵まれて、


とても幸せなものだったよ。


あの時から違う道を歩んできたけれど、


やっと君に再会することができそうだ。


待たせたね。


なんだかんだここまで生きてきてしまったこと、どうか許して欲しい。


そして神様、最期にこんなにも美しい夕焼けを見せてくれて、


本当にありがとう。


心から感謝する。





赤く染まった夕焼けの下、鷲はその生涯を終えた。























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空へ 伊勢 優馬 @noblelion

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