空へ
伊勢 優馬
空へ
僕は何回、夕焼けを見てきたのだろう。
そこから放たれる全てを燃えつくしそうな色とその広大さが、
いつも僕を魅了して止まなかった。
今日の夕焼けもとても美しい。
きっとこれが、自分が見る最後の夕焼けだ。
ああ、なんだか切ないなぁ。
君にも見せてあげたいよ。
そっちでは元気にしているか?
君がいなくなってしまったあの時から、
僕の生きる楽しみは夕焼けを眺めることだけとなってしまった……。
子供達も元気にしているといいな。
最期にもう一度、彼らの顔も拝んでおきたかったが、
それはどうも叶いそうにない。
でも、まあいい。
また会えるさ。
こうして色々考えていると、
僕の生涯は平凡なものだったのかもしれないなと思うけれど、
君というパートナーと出会えて、子供達にも恵まれて、
とても幸せなものだったよ。
あの時から違う道を歩んできたけれど、
やっと君に再会することができそうだ。
待たせたね。
なんだかんだここまで生きてきてしまったこと、どうか許して欲しい。
そして神様、最期にこんなにも美しい夕焼けを見せてくれて、
本当にありがとう。
心から感謝する。
赤く染まった夕焼けの下、鷲はその生涯を終えた。
空へ 伊勢 優馬 @noblelion
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます