女王様の食卓布巾

「なんでブルーワーカーって言うんすかね」

 ヘルメットを被せる瞬間、後輩はそんな戯れ言をほざいた。

 クロスチェック。気密確認。無線OK。減圧進行。オールグリーン。

 道具を手に取り、ハッチを出る。

『どっちかつーと、シルバーっすね!』

 作業無線からまだ聞こえる。

 先に立ち、白銀色の気密服でゆたりゆたりとパネルへ近付き。

 地平線はうすらと明るい。時間がない。

 箒をかざし一枚一枚埃を落とす。

 我らが女王の食卓の。

「むしろ」

 生まれた影に振り返る。青い朝日が昇り始める。

 太陽光で発電が。我らが女王マザーコンピュータが稼働を始める。

「……使い捨て布巾」

 そして、彼方で生まれ近付いてくる砂嵐。

『は!?』

「ほら、口元が汚れてる」

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