深海ディナーの必須条件

『ダイニングに集まりやがれ』

 放送を耳にすると非番クルーはそわそわと移動を始めた。コントラストばかりが際立つ白と黒の世界から、扉を潜り俺達は誰しも目を瞬く。

 テーブルの上には、櫛で留められた彩り豊かな野菜や肉。バケットはきつね色して山積みされ。湯気と共に香ってくるのは出番を待ってる黄金のスープ。

 金曜日の夕食時は、予算をかけて白昼光を模したLEDのあかりの下で。

「匂いは宝、見た目は至高。味は絶品」

 パックとチューブのミール(食事)ではなく。

「深海レストラン六回目のディナーを堪能しやがれ」

 地面の上で食べるような。

「あと四回。生きて味わえ、野郎ども!」

 応、とかぶりつく音の合間から、野太い声が幾つも漏れた。

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