今、アツアツのラーメンを

「「ラーメン食いたい」」

ディスプレイに白い文字、俺の頭の中では声が、喰うはずだったと無念を吐く。ケーブルお化けの寝たきり男の頭の上では、透けた影が仏頂面を覗かせる。

「食いたいって、どうやって」

「「考えろ、研究者」」


うまいは匂い。うまいは見た目。麺の重みに湯気の圧。舌触り、味、歯ごたえ、喉ごし、胃に落ちていく熱の塊。

流れ続ける文字列に、工学担当はあきれ果て。

夢枕に毎夜立たれて俺は寝不足。


画像解析、香り分析、味覚分解、温度センサー、接触刺激に人工筋肉。

電流へ変えて神経へ。


試行錯誤と研究の果てのシリコン-プロトロボットは。ケーブルお化けのじじいの脇で若いままの影と重なり、今、アツアツのラーメンを。

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