ロボットの味覚
美味しいも不味いも、味覚という機能を僕は搭載していない。
「センサーはあったわね?」
答えはYES。焦げ付き防止に純度を測るためのものだったけど。
ご主人はオイルへ液滴を落としていく。混ぜて漉し取り熱して冷やして。……操作の度にRGBは数値を増す。
「苦いは毒。酸いは傷み。甘いは熱。美味しいモノは必要なモノ」
琥珀の液体をゆるりと揺らす。とぷりと低い音がした。
「ヒトはね。必要なモノを美味しいと感じるのよ」
僕の背面が開かれて、センサーがオイルを感じ始める。最高の燃費を予想させる、その、純度の高さを。
「ね。美味しいでしょう?」
ご主人がにこりと笑んだ。
センサーが記録したこの数値を、僕は『美味しい』と定義した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます