アヘトが終わるその時まで
モテプは湿り始めた土を踏む。筋肉浮かぶ上腕に玉の汗を結びながら、仲間と共に綱を引く。
綱の先には巨大な石。遥か南より大河を運ばれ来たそれを、頭を欠いた三角の巨大な陰の麓まで。
「ここまで!」
役人のかけ声の下、労働者たちはばらりばらりと流れて行く。
食堂の脇に列を成し、ビールとパンと干し肉を得る。
「おぅ、来たな」
馴染みの顔と互いにビールに注ぎ込み。高らかにジョッキを打ち合わせる。
ほのかに酸いた香気が抜ける。
一口含めば淡く弾け、ごくりと飲めば空きっ腹に染み渡り。
瓶の底まで飲み干す頃には、ラーはすっかり死にゆきて。ジェフゥティの淡い光が、大地を隅まで覆い尽くす。
「今年もよろしく」
アヘトが終わるその時まで。
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