Sランク冒険者⑤
ではどのようにして谷を封鎖するのか……
それはミハイルたちも大いに気になるところである。ベティとウィズの視線に後押しされ、ミハイルは困ったように苦笑した。
「レオンさん、差し支えなければ教えて欲しいのですが……。谷はどのように封鎖するのでしょうか?」
「そんなに気にるのか?封鎖は至って
ミハイルたちは訝しげに互いの顔を見合わせた。レオンの魔法が如何に強大かは、既にミハイルたちの知るところだ。レオンなら風を起こすことも容易いであろう。
疑念に思ったのは、風を起こすのがレオンの従者であるということ。レオンと同じような、強大な魔法を使える者が他にもいるのかと驚きを禁じ得ない。
「レオンさん、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「ん?構わんとも」
「その……。先程レオンさんは従者が風を起こすと仰っていましたが、もしかして、その従者もレオンさんのように強大な魔法を使えたりするのでしょうか?」
「うむ、使えるな。こと風の魔法やスキルに関しては、私よりも数多く修得している」
「そ、そうですか……」
ベティが呆れたように、「使えるのかよ……」と、呟いているのがミハイルの耳に届いた。
その気持ちはミハイルにも痛いほど分かる。レオンの魔法は国を滅ぼすには十分な威力を持つ。そんな魔法を使える者が他にもいるのだ。仮にレオンが敵に回ったら、間違いなく国は滅びるだろう。呆れを通り越して、もう笑うしかない。
「ところでミハイル。何故お前たちは王都から冒険者が来ることを知っていたのだ?」
「先程ケネスさんから伺いましたから。王都から伝令鳥が知らせに来たそうですよ」
「伝令鳥?そんな鳥がいるのか?」
「はい、正式な名前はロック鳥ですけどね。ですが、伝令を運ぶことから、一般的には伝令鳥と呼ばれているんですよ。アスタエル王国では、王都から各都市への急な連絡には伝令鳥を使用しています。ケネスさんの話では、クライツェルさんのパーティーは馬を乗り潰してこの街にやって来るそうです。馬の準備もありますので、伝令鳥は中継地点の各街にも飛ばされているはずです」
(なるほど……、確かニナは冒険者が送り込まれたと言っていたな。送り込まれたと言うことは、既にクライツェルはメチルの街を通過したと見るべきか?ベルカナンにSランクの冒険者が来るのも時間の問題だな……。撫子には早めに連絡を入れた方が良さそうだ。それにしても……)
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