Sランク冒険者④
ミハイルは困ったように苦笑いを浮かべた。どんな装備と言われても分かるはずがない。見た目で使用している金属をある程度知ることが出来ても、その武具の名前や性能を知ることはできないからだ。そんなことができるのは鑑定の魔法やスキルを使える一部の人間だけである。
そして良くも悪くも冒険者は慎重だ。手の内を明かさないためにも装備の詮索を嫌う者も多い。ましてや相手は格上のSランク冒険者、ミハイルは装備を尋ねるなど考えたこともなかった。
魔法やスキルは噂で耳にしているが、それも全てとは限らない。奥の手を隠していることも十分に考えられる。それでもミハイルは自分の知りうる全ての情報をレオンに伝えた。
ミハイルは一頻り話し終えるとレオンの顔を覗き込む。レオンは残念そうに俯きながら、そして思わず言葉を漏らした。
「装備は分からないか……」
「お役に立てず申し訳ありません」
「ん?そんなことはないぞ?パーティーの構成、魔法やスキルの情報は役に立つからな」
装備を知らずとも使用する魔法やスキルで相手の強さを予想することはできる。寧ろ、装備よりも魔法やスキルの情報が重要であった。装備を知ることが出来ないのは残念であるが、レオンにとっては然したることではない。
レオンに笑みを向けられミハイルは肩の力を抜いた。今までの恩を少しでも返せたことに、ほっと胸を撫で下ろす。だが気になるのはレオンの今後の動向である。
クライツェルと敵対することはないと思うが、相手の出方次第では変わる恐れもあるだろう。そう思うとミハイルの胸に暗雲が立ち込めた。
「それで、レオンさんはこれからどうするおつもりですか?」
「そうだな……。一番厄介なのは
ミハイルが「谷を封鎖?」と、不思議そうに首を傾げた。
谷は狭いと言っても数百メートルの幅はある。壁を作るには余りに時間が足りない。抑、そんな目立つことをしては、直ぐにベルカナンの兵士に気付かれてしまう。
「壁でも作る気ですか?」
「壁か……、
一つは同一の資材でのみ物体が構成されること。木なら木、鉄なら鉄と、同一の資材でしか創り出せないのだ。。
二つは資材の消費量。物体の構成には、通常の三倍もの資材を要する。当然、インベントリに必要な資材がなければ
このことから、レオンは
勿論、何処にでもある石で壁を作ることも出来るが、そんなことをすれば獣人との確執は埋めることができなくなる。そのため、レオンは物理的な壁を作ることを由とはしなかったのだ。
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GW中は更新できないかもしれません
例え更新しても、いつもより更に文字数が少なくなると思います
読者の方々にはご迷惑をおかけします
と、トカゲが申しておりました
サラマンダー 「えっ?誰か呼んだ?(´・ω・`)」
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