街⑤

 それから様々な情報を教えてもらうが、結局のところレオンの一番知りたかった情報は何もない。

 名の知れた強者の中に、プレイヤーがいるのでは?と、思っていたのだが、そのことごとくがプレイヤーではなかった。

 何年も前から知られているという時点で、プレイヤーの可能性は皆無である。

 プレイヤーであるならば、レオンと同時期にこの世界に来たはず。何年も前から知られているはずがないのだから……。

 考え込むレオンに、ニナが心配そうに覗き込む。

 尤も、心配なのは報酬を全額貰えるのか、その一点に尽きた。

 情報不足であれば、知りうる情報を幾らでも話そうと身を乗り出していた。


「どうでしたか?」

「ん?あぁ、分かりやすい説明だった。感謝する」

「良かったです」


 そう言うとニナは両手を広げて差し出した。その分かりやすい仕草にレオンも直ぐに気が付く。

 マントの下に手を入れ、懐から取り出したかのように金貨を2枚手に出した。

 その金貨を机の上に置くと、ニナは満面の笑みでそれを受け取った。


「これで依頼は終わりだな」

「はい。ありがとうございます」


 立ち上がろうとするニナをレオンは手で静止した。

 「はい?」と、不思議そうに首を傾げるニナに話しかける。


「その前に一つ訪ねたいことがある。他国の人間でも冒険者になれるのか?」

「勿論なれます」

「そうか、冒険者になれるのか……」

「もしかして冒険者になりたいのですか?」

「いや、知り合いがいるかもしれないと思ってな」

「知り合いですか?」

「あぁ、探しているのだが、何処にいるのか見当もつかない」

「それこそ――いえ、何でもないです……」


 ニナは、それこそ依頼を出されたらよろしいのでは?と、言いかけてやめた。

 何処に居るかも知れない人物を探すのは容易ではない。膨大な時間を要するため、引き受ける冒険者は皆無、依頼を出しても意味がないからだ。 


 レオンもまた依頼を出しても無駄だろうと思っていた。

 外見は変装や魔法で幾らでも偽ることができる。それを踏まえるなら、自分で直接探すしかないと。


「ニナ、冒険者の登録リストを見せてもらえるか?」

「流石にそれは無理です。関係者以外は見ることができません」


(だよな……。まぁ、いいか。見たところで偽名を使っている恐れもある。名前をそのまま信じるのも危険だしな。俺なら看破の魔法も使える。やはりこの目で直接確認するしかないか)





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