従者⑫

 一時間後、レオンの寝室にはアインス、ツヴァイ、フィーア、ヒュンフ、アハト、ノイン、が集まっていた。

 同行が決まっているヒュンフは余裕の表情であるが、他の5人はいつになく真剣な眼差しをレオンに向けている。


「レオン様の仰る通り護衛は必要ないでしょう。しかし、身の回りのお世話をする従者は必要です。私を含めた5名の中から相応しい従者をお選びください。勿論、5名全員お選びいただいても構いません」


 アインスの突然の言葉にレオンは「えっ?」と驚くばかりである。


(身の回りのお世話って必要なのか?そもそも、ヒュンフがいるから必要ないと思うんだが……)


「ヒュンフがい「ヒュンフは周囲の警戒など多岐に渡り役目がございます。レオン様のお世話をする従者が他に必要です」


 レオンの言葉を遮り、アインスが有無を言わせまいと畳み掛ける。

 他の5人も真剣な表情で頷き合っていた。


(これは断れない雰囲気だな。誰か一人選ぶしかないか……)


 レオンは5人を軽く見渡すと、直ぐに同行者を決めた。


「では、私の世話役としてフィーアの同行を許す。それでよいな?」


 選ばれたフィーアは喜々として答えた。


「はっ!必ずやレオン様のお世話を全ういたします」


 深々と頭を下げるフィーアを横目で覗いながら、アインスが異を唱える。


「レオン様、なぜお一人なのですか?他にもお世話をする従者が居た方がよろしいのでは?」

「玉座の間でも言ったが、他のプレイヤーに見つかるわけにはいかない。目立たないためにも人数は少ない方がよいのだ」


 今度はツヴァイが涙ながらにレオンに詰め寄った。


「なぜフィーアなのですか?私では駄目なのですか?」

「駄目ではないが……、ツヴァイは少々目立つからな。執事のアハトやメイドのノインも人目を引きやすい。アインスには拠点の管理がある。消去法でフィーアを選んだまでだ」

「そんな……」


 選ばれなかった4人から一斉に溜息が漏れる。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る