従者⑨
まさかと思いもう一人の女性にも視線を移す。
金髪のセミロングに碧眼の少女。
名前がドイツ語の9を意味するノインである。
可愛らしいメイド服を身に纏うレオン専属のメイド。
取得している職業は
ゼクスが視線を落とすと案の定と言うべきか、フリルのついたスカートの裾からから見え隠れするのは、足元に滴り落ちる水滴であった。
何事もないかのように佇むアハトとは違い、ノインは恥ずかしそうに頬を赤らめ俯いている。
女たちのあまりの節操のなさに、ゼクスは処置なしとばかりに深い溜息を漏らさずにはいられなかった。
「ゼクス、さっきから何か言いたそうだな?」
呆れたようなゼクスの仕草が気に入らなかったのだろう。アハトは股間が濡れるのはさも当然と言わんばかりに悪びれた様子もない。真っ直ぐにゼクスの瞳を見据え言葉を投げかけてきた。
ここまで堂々とされては呆れを越して返す言葉もない。
「……いや、何でもない。早く汚れた床と衣服を綺麗にしてくれないか?」
「分かった。私は衣服を綺麗にするから、ノイン、貴方は床の方をお願い」
ノインはそれに頷き返し魔法を発動させた。
「[
瞬く間に床は綺麗になり、塵一つ落ちていない状態になる。空気も全て入れ替えたかのように、女性特有の生物臭も消え清々しい空気で溢れていた。
次にアハトが魔法を発動させる。
「[
その場にいた従者全員の衣服は疎か体の隅々までが一瞬で綺麗になっていった。
まるで風呂上がりのような爽快感が全身を包み込む。
全てが綺麗になると、アインスはすっきりした顔で従者たちに指示を出した。
「これで何も問題ないわね。みんな持ち場に戻りなさい」
その言葉に従い従者たちは玉座の間を後にした。
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