従者⑤

 即座にアインスが異を唱える。


「お、お待ちください!お一人での行動は危険でございます!せめて、ナンバーズとアーサーはお連れください!」

「何かあればヒュンフに出てきてもらう。問題はない」

「ですが!レオン様の護衛がたった一人では不安でなりません!どうかご再考ください!」


 アインスのみならず、ヒュンフ以外の従者全員が不安そうに見上げていた。

 同行を許されたヒュンフだけは、ひとり勝ち誇ったように笑みを浮かべている。

 思い詰めた表情で懇願するアインスを見て、レオンは思わず眉間に皺を寄せる。


(俺に護衛は必要ないと思うんだよな。だってレベル200だし……。一度、俺の実力を知らしめた方がいいのかもしれない)


「仕方ない。お前たちに私の力の片鱗を見せてやる」

「レオン様?」


 アインスが顔を上げて、レオンの顔を不思議そうに見上げていた。


「では、行くぞ!スキル〈混沌の夜ナイト・オブ・カオス〉!」


 レオンは言葉とともにスキルを放つ。

 使用したスキルは混沌の夜ナイト・オブ・カオス、相手に暗闇、沈黙、眠り、混乱、恐怖、のバッドステータスを与え、同時にMPマジックポイントSPスキルポイントを減少させる最悪の上位スキルである。

 従者たちは全ての状態異常をアイテムで無効化しているが、MPマジックポイントSPスキルポイントへのダメージを防げるわけではない。

 しかも、与えるダメージ量は使用者のMPマジックポイントSPスキルポイントに比例するという、一風変わった仕様のスキルである。


 レオンから発せられた闇の波動に従者たちが一瞬にして強張った。

 恐怖のバッドステータスは無効化しているにも関わらず、背中を冷や汗が伝い身動きが取れなくなるほどである。

 その様子にレオンは満足そうに頷いた。


(このスキルはMPとSPにダメージを与える。HPは減らないから従者を死なせる心配もない。これで俺の力を分かってくれるだろ)


 次にレオンは管理画面を開き従者たちのステータスを確認した。

 全ての従者のMPマジックポイントSPスキルポイントが半分以下に減少し、黄色く表示されているのを見て呆然となる。


(半分以下だと!?こんなに強力なスキルだったか?いや……、このスキルは使用者のMPとSPに比例してダメージを与える。それだけ俺のステータスが高いと言うことか……。今の俺はどんだけ強いんだよ……)


 自分でもドン引きである。

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