従者③

 アインスの言葉に他の従者も、さも当然と言わんばかりに頷いている。

 レオンはそれを目の当たりにして頭を抱えたくなった。


(こいつら全員やっべぇよ!少し目を離した隙に集団自殺でもしてるんじゃないか?きつく言い聞かせないと駄目だな……)


「アインス!お前は私が創り出した私の従者だ!そうだな?」


 唐突に告げられアインスはキョトンとするも、それは至極当たり前、当然のことである。

 アインスはレオンを見据えて大きく頷いた。


「その通りでございます」

「言うなればお前は私の所有物だ。それが自らの意思で命を絶つなど許しがたいと思わないか?」

「それは……」


 アインスは直ぐに返答できずに口ごもる。

 言われてみれば当然である。所有物である自分が、主の許可もなく勝手に命を絶つなど傲慢としか言いようがない。

 レオンは悠然と玉座に戻り腰を落とすと、一度従者たちを大きく見渡した。

 そして、大きく息を吸い込み声を張り上げる。


「全ての従者に告げる!お前たちは例外なく私の物だ!私が死ねと命じるまで死ぬことは許さん!それまで私に尽くし私のために生きよ!」

「はっ!!」


 幾重にも声が重なり大気が大きく振動する。


「アインス、一つの失敗は一つの成功で償えばよい」

「はっ!慈悲深いレオン様のお言葉、このアインスしかと胸に刻みました」


 従者たちから向けられる熱い眼差しに、レオンは鷹揚に頷き返した。


「うむ。大分話が逸れたが本題に戻ろう。アインス、森の外に街を確認していたな?」

「はい。ガリレオのスキル、神の眼ゴッドアイにより、幾つかの街や村を確認しております」


 従者の一人である天文学者のガリレオは、離れた場所を見通すスキル、神の眼ゴッドアイを有していた。

 だが、それは万能ではない。神の眼ゴッドアイは離れた場所を見通すことはできるが、音声を捉えることはできなかった。更には、一日の使用回数と使用時間に制限が有るため、得られる情報も限られている。

 詳細な情報を入手するためには直接街に赴く必要があった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る