スキル①

 翌日、レオンの自室にはアインスが呼び出されていた。


「レオン様、今日はどのようなご要件でしょうか?」

「うむ、他でもない。お前に調べてもらいたいことがある」

「レオン様のためでしたら如何なる事でもお調べいたします」


 アインスは喜々として答える。

 レオンの役に立てることが嬉しくて、その表情からは喜びが溢れ出していた。


「それは頼もしいな。この世界では痛みを感じるのは知っているな」

「はい。一部の従者から伺っております」

「一部のだと?痛みを感じない従者もいるのか?」

「そのようですが、それがどうかなされたのですか?」


 アインスの言葉を聞いてレオンは嬉しそうに声を上げた。


「そうか、痛みを感じない従者もいるのか。アインス、痛みを感じない従者をリストアップしろ。それと、些細なことでもよい。この世界で気付いた事や変化したことがないか調査せよ」


 従者たちに取って主人であるレオンの喜びは何よりも代え難いもの。レオンの嬉しそうな声を聞いて、アインスも釣られる様に微笑んだ。


「レオン様、調査結果は書面に纏めた方がよろしいでしょうか?」


 にこやかに答えるアインスの言葉に、レオンも書面の方が確認しやすいなと小さく頷いた。


「そうだな。そうした方が分かりやすいか。では、そのように頼む」

「畏まりました」


  アインスは敬意を払うように深々と一礼してから立ち去った。その後ろ姿を見送り、レオンはボソリと一言呟いた。


「何とかなるかもしれないな……」

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