覚醒⑪

 もはやこの時点でレオンの強さは疑いようがない。

 しかし、レオンはどれほどのダメージを受けるのか検証したかった。

 仲間たちとよくやっていたダメージ量の測定。どの程度の武器でどれだけのダメージが入るのか。その再現である。


 レオンは守護獣の腕輪を外し、アーサーにSSRダブルスーパーレアアイテム、聖剣エクスカリバーを差し出した。

 外見はアーサーのコスチュームに施されている剣と同じである。見覚えのある剣に思わずアーサーが尋ねた。


「レオン様、これは?」

SSRダブルスーパーレアアイテム、聖剣エクスカリバーだ。お前がコスチュームとして身に着けている剣があるだろ?それのオリジナルでもある。これでもう一度頼む」


 そう告げると、レオンは右手で剣を差し出し、再び左手を横に突き出す。

 アーサーは剣を受け取り鞘から抜き放つと、その見事な輝きに心奪われ、魅入られるように暫し眺めていた。


(随分気に入ってるみたいだな。アーサーには無理なお願いもしたし、褒美として渡してもいいのかもしれない)


「アーサー、これが終わったら褒美としてその武器はお前にやろう」

「え!?ですが、このような見事な武器をご下賜かしなされてよろしいのですか?」

「構わん。他の従者にも何れそれなりの武器を持たせるつもりでいる。早いか遅いかの違いでしかない」

「……それでしたら、この聖剣エクスカリバー、有り難く頂戴いたします」


 アーサーは剣を抱くように胸元に引き寄せた。

 嬉々とした表情からはアーサーの喜びがこれでもかと満ち溢れている。


「水を差すようで悪いが早くしてくれないか?」


 レオンは左手を横に突き出したままであった。

 その様子にアーサーが慌てて剣を構える。


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