覚醒⑫
「申し訳ございません。これ程の武器をご下賜くださるレオン様の寛大さに私も覚悟を決めました。もし、万が一にもレオン様の身に何かございましたら、その時はこの剣で私を処断してください。では、参ります!」
(え?)
レオンが何を言ってるんだと驚く中、聖剣エクスカリバーがレオンの左腕に勢いよく振り下ろされた。
守護獣の腕輪を外したことで障壁がなくなり、エクスカリバーの刀身が深々とレオンの左腕に食い込む。
しかし、その見た目より傷は浅く、振り下ろされた刀身には僅かに血が付く程度であった。
これも防御力の高さ故である。当のレオンはといえば、傷は浅いにも関わらず苦痛で顔を歪めていた。
(いってぇええええええええ!)
左腕には浅い切り傷がついている程度であるが、普段から痛みに耐性の無いレオンはそれだけでも内心大騒ぎである。
アーサーがいる手前平静を装うが、本当に平然とした顔をしているのか定かではない。
左腕に走る痛みはレオンにとってそれほど衝撃的であった。
(クソッ!俺は馬鹿か!これはゲームじゃないんだ!痛みを感じることは容易に想像がつくじゃないか!)
「
回復魔法を唱えると、傷は一瞬にして塞がり痛みは直ぐに消えてなくなった。
(ふぅ……、ダメージがなくなると痛みも消えるのか。昔はよく仲間内でダメージ量の測定をしていたからな。その時の癖が思わず出てしまった。今度からこんな馬鹿な真似はできないな)
レオンは落ち着きを取り戻すと、みっともない姿を見せていないか気になり、アーサーの様子を横目で窺う。
すると、そこには魂の抜け殻のように、真っ青な顔で呆然と立ち尽くすアーサーの姿があった。
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