覚醒⑩
振り下ろされた剣がレオンの左腕に当たると、ガキン!という硬質な音と共に、レベル10の剣は見事に折れた。
斬られた左腕には擦り傷一つ付いていない。そのことにアーサーは安堵の溜息を漏らす。
レオンはと言えば折れた剣をまじまじと見ていた。
(HPは減っていない。それにしても武器が折れるとは……。どんなに弱い武器でも、ゲームの中では折れるということはなかったんだがな)
正確にはHPは文字化けして見ることが出来ない。しかし、横に伸びるHPのゲージが減っていないことから、ダメージを受けていないのが見て取れた。
レオンはレベル20の剣をアーサーに差し出す。
「アーサーよくやった。次はこの剣で頼む」
「……はっ!」
アーサーは顔を顰めるも剣を受け取り身構えた。
「では参ります!」
結果は先程と同じ、剣は折れてレオンにダメージは入らない。
するとレオンはレベル30の剣を取り出し同じことが行われた。当然のようにダメージはないが、今度は剣が一撃で折れることはなかった。
これが幾度となく繰り返され、剣のレベルは遂に100まで上がっていた。
(ダメージが全く入らない。何故だ?)
如何にレベルが高くとも、全くダメージが入らないのは不自然であった。本来であれば、どんなに弱い攻撃でも僅かにダメージが入るからである。
レオンはふと自分の右手首の装備を見てある事に気付いた。
そこには、朱雀、青龍、白虎、玄武の踊るような姿があしらわれた銀のブレスレットが嵌められている。
(ああ、なるほどな。
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