覚醒⑨
アーサーはレオンに考え直すように懇願する。
「レオン様、私には主君を傷つけることはできません。何卒ご再考ください」
「そう難しく考えるな。怪我をしても直ぐに治すから問題はない」
「で、ですが、主君に危害を加えるなど臣下として有るまじき行為、私にはそのようなことはできません」
(なんて融通が利かないんだ。俺の為を思うなら斬ってくれよ)
レオンはどうしようか考えるも、答えは分かりきっている。
ステータスが減っていようが増えていようが、自分で自分を傷つけても真の実力を測ることはできない。
手っ取り早く実力を確かめるには、戦闘職の従者に攻撃してもらうに限る。
レベル115のアーサーの攻撃で、ダメージが殆どなければ自分は強いと確信ができるからだ。
逆に予想よりもダメージが多い場合には、ステータス減少の疑いが浮上する。
恐らく減少していることはないだろうが、それでも万が一ということは有り得る。
有事の際に実は弱かったでは目も当てられない。
レオンは語気を強めてアーサーに命令する。
「アーサーこれは命令だ!この剣で私の左腕を斬れ!」
強く命令されアーサーも引くに引けない。顔を顰めながらも遂にレオンの手から剣を受け取り身構えた。
「ほ、本当によろしいのですか?」
「問題ないと言ったはずだ。遠慮はいらん、全力で剣を振り下ろせ」
アーサーの喉がゴクリと鳴り緊張が伝わって来る。
(お前がそんなに緊張していたら、こっちまで緊張するだろうが!)
「では参ります!」
腕を斬る程度であれば、例え腕を斬り落としても死にはしない。
回復魔法の効果は確認されているため、腕を切り落とされても直ぐに魔法で治すことができた。
アーサーもそれを理解しているのだろう。言われるがまま全力で剣を振り下ろす。
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