覚醒⑧

 不安は残るがこのままでは従者よりも弱いまま、レベルはどうしても上げる必要がある。

 レオンは課金ショップから戦闘教本・極と訓練教本・極を購入し残りの課金ポイントを確認した。


(残り8642000ポイント。まさかガチャよりも教本で使うポイントの方が大きいとは……)


 レオンは戦闘教本を手に取り使用する。

 ベージが勢いよく捲れ上がり教本が閉じられると膨大な経験値が流れ込んできた。

 レオンは恐る恐る自分のステータスに視線を落とす。すると、全てのステータスが文字化けして読み取れない状態になっていた。


(えぇ……、全ステータスが文字化けして全く分からない。追加の職業は後でゆっくり選ぶとして……、これ大丈夫なのか?)


 恐らくステータスは高いと思うのだが、文字化けして読み取れないため不安である。もし不具合でステータスが減少していたらと思うと、レオンはゾッとした。

 自分のステータスを確認せずに、戦いに出て死にましたでは、笑い話にもならないだろう。ギルドの仲間が知ったら暫くはネタにされる案件だ。

 何より、この世界での死を経験していないため、蘇生できるかも疑わしい限りだ。自分の強さの確認は、何を差し置いても絶対に必要だった。

 部屋を飛び出ると、そこにはアーサーが佇み周囲を警戒している。レオンは丁度よいとばかりにアーサーを部屋に引き込んだ。


「アーサーよいところにいた。お前に少し頼みがある」


 無理やりアーサーの手を引いて部屋に戻り、悠然と椅子に腰を落とす。

 アーサーはといえば、不意に手を引かれ頬を赤らめている。普段の凛々しい姿とは違い乙女のように恥じらいでいた。


(え?誰これ?可愛いんですけど……)


 普段見ることのないアーサーの一面に戸惑うも、そんなことに躊躇ためらっている場合ではない。レオンはレベル10の剣を取り出しアーサーに差し出した。


「アーサーその剣で私の左腕を斬ってくれ」


 レオンは右手で剣を差し出し、横に突き出した左腕を斬るように指示を出す。突き出した左腕は袖が捲られ素肌を晒していた。

 咄嗟の申し出にアーサーは混乱するばかりである。主を斬ることなど従者のアーサーに出来るはずがない。


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