覚醒⑤

「どうやら上限レベルは120のようだな」

「はい……、ですが希少なアイテムを一つ無駄にいたしました」

「構わん、覚醒の秘薬はまだ400本以上ある。何も問題はない」

「そんなに?やはりレオン様は特別なのですね」


 アインスは頬を赤く染めながら潤んだ瞳でレオンを見つめていた。

 見れば他のナンバーズやアーサーまでもがレオンに熱い視線を向けている。

 その眼差しに、レオンは照れ隠しをするように言葉を発した。


「そ、それよりも、他のナンバーズの上限レベルも120まで引き上げる。アーサーの上限レベルは115とする。これはナンバーズが上位者であるためだ。アーサーもそれでよいな?」

「はっ!我が主の御心のままに」

「よし。では今からお前たちに覚醒の秘薬を渡す。アインスこれを皆に」

「畏まりました」


 アインスは恭しく一礼すると覚醒の秘薬を受け取った。

 レオンは再び管理画面で従者の上限レベルを確認する。

 ナンバーズの上限レベルが120、アーサーの上限レベルが115になっているのを確認すると、今度は手元に戦闘教本・極を出した。


「アインス、私の前に来い」

「はい」


 アインスはレオンの前に跪き頭を垂れる。


「うむ、そのまま動くなよ」


 レオンの持つ戦闘教本・極が開かれ、ページが瞬く間にめくれられていく。

 最後に教本が、バン!と音を立て閉じられると、教本は虚空に消えていった。

 それと同時に、アインスには膨大な経験値が流れ込み、一瞬にしてレベルが120まで上がっていた。


「レオン様これは?」

「レベルを最大まで引き上げる課金アイテムだ。取得する職業は、後でゆっくり選ぶとよいだろう」


 アインスが瞳を輝かせながら身を乗り出してレオンに迫る。


「レベルを一瞬にして最大まで引き上げるとは、流石はレオン様です!」

「ま、まぁな。それより他の者たちのレベルも上げなくてはならない。アインスは私の横に移ってくれ」

「はい」


 アインスは満面の笑みでレオンの横に立つ。まるで其処が自分に与えられた特別な場所であるかのように。


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