覚醒④

 レオンは混乱しながらも推測を立てる。

 慌てふためくようなレオンの態度に、従者たちはどうしたのかとジッと視線を向けていた。


(落ち着け!アーサーの上限レベルは最初から95と他の従者よりも高かった。恐らく4周年目の記念として、アーサーの上限レベルだけ少し高めに設定されていたんだろう。そこまではいい、問題は次だ。覚醒の秘薬で最大上限レベルの100を超えたと言うことは、アップデートで最大上限レベルが100から引き上げられたという事になる。問題は何処まで引き上げられたかだ。それを見極める必要がある……)


 レオンは隣に佇むアインスに視線を移した。

 アインスは「なんでしょうか?」と小首を傾げている。


(可愛い……。じゃなくて!取り敢えず試してみる必要があるな)


「アインス、これを飲み干してくれ」

「これは覚醒の秘薬。ですが、私の上限レベルは既に100になっております。これ以上の服用は意味がないと思われますが?」

「それをこれから確かめる。いいから飲み干すのだ」

「畏まりました」


 アインスは覚醒の秘薬を受け取り一気に飲み干した。

 レオンは直ぐに管理画面でアインスの上限レベルを確認する。


(上限レベル110。やはりアップデートで上限レベルが引き上げられたのか……)


 アインスも自分のステータスを確認して上限レベルを知ったのだろう。驚愕の表情でレオンを見つめていた。


「アインス、もう一度だ」


 レオンは再び覚醒の秘薬を取り出しアインスに差し出した。


「え?ですが……」

「最大上限レベルを確かめる。いいから飲み干せ」

「は、はい」


 本来であれば手に入れることの困難なアイテム、どのようにしてこれ程の数を手に入れたのかは気になるが、レオンの命令は絶対である。

 アインスは戸惑いながらも覚醒の秘薬を飲み干した。


(上限レベル120だと?まだ上がるのか?)


 その気持ちはアインスも同じらしく目を大きく見開いている。

 二人がなぜ驚いているのか状況を把握していない他の面々は、唯々ジッと事の成り行きを見守っていた。


「アインス、もう一度飲んでもらう」

「……はい」


 言われるがままアインスは覚醒の秘薬を飲み干す。

 レオンは管理画面を確認して大きく息を吐いた。


(変化なし、最大上限レベルは120か。後は従者たちのレベルをどうするかだが……。ナンバーズは上位者としてレベル120、アーサーは俺の守護者としてレベル115、他の従者はレベル110でどうだろうか?全員レベル120にして序列が変わりでもしたら困る。かと言って低すぎると他のプレイヤーに殺されないとも限らない。俺がこの世界に来ているということは、他のプレイヤーも必ずいるはず。友好関係を結べればいいが、中には問答無用で襲ってくる相手がいるかもしれない。それを考慮すれば、レベル100では不安が残る)

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