ガチャ⑤
「私の名はレオン。今後お前たちの主となる者だ。お前たちの先駆者、私の作り出した従者を紹介する。暫しそのまま待機せよ」
目の前で跪く従者たちにそう告げると、レオンは通話機能を使い従者に呼びかけた。
内容は簡単で「新たな従者を紹介する。全員私の自室に来い」である。
洞窟入口を警戒する者がいなくなるが、さほど心配はしていない。洞窟内に侵入されても最初のエリアは迷路のようになっており、迎撃用の罠が数多く仕掛けられているからだ。
簡単に抜けることができない上に、抜けたとしてもそれなりに時間はかかる。
その間に迎撃態勢を整えることは十分可能であった。
暫くすると、扉を叩く音とともに、アインスの声が聞こえてくる。
「レオン様、アインス以下ナンバーズここに参りました」
「入れ」
アインスの「失礼いたします」という声とともに、ナンバーズが部屋に足を踏み入れた。
部屋を埋め尽くす従者とペットに、僅かにアインスの表情が曇る。
「来たか、お前たちは私の横に来い」
アインスたちはレオンの横に立ち、目の前で跪く新たな従者に視線を落とした。
「レオン様、この者たちはガチャと呼ばれるものから召喚されたのでは?」
「その通りだアインス。ガチャの従者とペットを全て召喚した」
「おお!」という歓声がレオンの横から湧き起こる。
天空城でもガチャの従者やペットはよく見かけたが、その全てを召喚した者は未だいない。
それを知るナンバーズは主の偉大さに感銘を受けていた。
「流石はレオン様、そのような偉業を成し遂げるとは。レオン様の従者として誇りに思います」
レオンは向けられた尊敬の眼差しに僅かに怯む。
会社では平社員、学生時代も目立つことのなかったレオンは尊敬されることに免疫がなかった。
熱い視線を受け思わず口ごもる。
「ま、まぁな。それよりアインス、このアイテムを私の新たな従者に渡して欲しい」
そう告げると、レオンはアインスのインベントリに37個の
従者たちのインベントリに直接アイテムを移動させても良かったが、アインスが上位者であると知らしめる意味でも、アインスの手からアイテムを渡した方が良いだろうと面倒な方法を選んでいた。
【レオンさんからアイテムが送られました】
アインスは目の前に現れたメッセージを見て自分のインベントリに視線を落とした。
37個の
「畏まりました」
アインスが跪く従者たちに指輪を差し出すと、従者たちは両手を重ねて恭しく指輪を受け取っていった。
程なくして指輪は渡し終わり、アインスがレオンの横に戻ってくる。そのタイミングで、レオンは跪く従者たちに言葉を発した。
「いま渡したのは
「はっ!」
従者たちの声が幾重にも重なり、跪く従者たちは勿論、ペットたちも頭を下げる。
「自己紹介は
レオンはアインスに視線を移して今後の方針を伝える。
「アインス、鍛錬場は出来ていたな?戦闘職の従者は鍛錬場でレベルを上げさせろ。生産職や内政職の従者は拠点拡張の手伝いに回せ。ペットは植林エリアで放し飼いで問題ないだろう。困ったことがあれば随時私に報告せよ。場合によっては私が対応する」
「レオン様の仰せのままに」
アインスが恭しく頭を下げるのを見て、レオンは今一度声を張り上げた。
「では、行動を開始せよ!」
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