異変⑧
やるべき事は多々あるが、先ずは自身と従者の身の安全を考えなくてはならない。
レオンは顔を上げて周囲を見渡し一度大きく頷いた。
「結界を張る」
レオンはインベントリから守護者の偶像を取り出す。
アインスがレオンの手の中にある金属の人形を見て不思議そうに首を傾げた。
「レオン様、それは?」
「これは守護者の偶像、濃霧でエリアの外側を囲み、レベル50以下の魔物を寄せ付けない効果がある」
レオンが偶像を持った手に力を入れると、偶像はすうっと消えてなくなる。
すると拠点の外側に濃密な霧が立ち込め周囲の森が見えなくなった。それとは真逆に、芝生で囲まれた拠点の中は霧が一つも発生していない。
「なるほどな。芝生で整備された土地までエリア内。つまり、周囲の芝生も拠点に入るわけか」
次にレオンはメニュー画面を開いてそこから課金ショップを選択した。
購入するのは
元々、
レオンは指輪を10個購入して自分の手元に出す。
「お前たちにこれを渡しておく。装備することを忘れるな」
差し出された指輪に従者たちは目を丸くする。アインスは指輪をまじまじと眺め、レオンに視線を移した。
「これは
「なんだ知っているのか?」
「はい、天空城を散策中に聞いたことがございます。何でも食事や排泄、睡眠を必要としなくなる課金アイテムだと」
「その通りだ。この世界は今までの世界とはまるで別物、警戒を怠ることはできない。故にこれからは、24時間体制で警戒に当たる必要がある。この指輪があれば、常に万全な状態で警戒に当たれるはずだ」
「それで、これほどまでに貴重なアイテムを下賜なされるのですね」
アインスは瞳を輝かせながらレオンを見つめていた。
(千円で買えるし、そんなに貴重なアイテムでもないんだけどな……)
レオンはそんなことを考えながら指輪を次々と渡していく。
指輪を受け取った従者たちは、アインス同様歓喜の表情で打ち震えていた。
(大げさな気もするが、喜んでくれていることに変わりはない。まぁいいか)
最後にレオンはヒュンフを呼び寄せフレンド申請をした。
突然現れたメッセージにヒュンフは困惑するも、次のレオンの言葉で頬を緩ませる。
「ヒュンフ、フレンド申請を受け入れろ。詳しいことは後で他の者から聞くがいい」
「はっ!畏まりました」
ヒュンフは混乱しながらも嬉しそうに頭を下げた。
レオンが他の従者に視線を移すと、木の間から零れる陽の光に指輪を翳し、満面の笑みで眺めていた。些細なアイテムで喜んでくれるのだから安いものだ。
「拠点の中に戻る。やることは山ほどあるからな」
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