4−00/魔王様、エターナルアブソリュートブリザードを食らう


  【Next 0】


 すべては、順調に思えていた。


【魔王の衣作戦】や【銀幕の幻惑作戦】の時のように、アカウント存亡の危機に見舞われなかったことが、666代魔王ヴィングラウドの、魔王としての成長、即ちネット・リテラシーの学習、作戦の進行を証明していたのだから。


 魔界、べて事もなし。

「このまま行けば来月の今頃には、人間界のド真ん中で祝勝会やっとるのと違うのか」——なんて言葉が、なんだかんだと作戦後のヴィングラウドの口から出るほどであった。


 ——そう。

 すべては、順調に思えていたのだ、その日まで。


 今日もとっても楽しかったよね、明日はもっと絶望させられるよね——魔王と百妖元帥が、そんな言葉を交わして別れた、玉座の間。


 しかし。

 その朝。

 666代魔王ヴィングラウドは、驚くべき、己のアカウントを目にした。


《  このアカウントは封印されています  》


「馬ぁぁぁぁぁああああ鹿ぁあぁあああああなぁぁぁぁああああああッ!」


 その朝。

 幻夢魔城ガランアギトの職員たちは、驚くべき、魔王の断末魔を耳にした。

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