第2話寿司、死す
「日本の寿司が死にかけている。」
私は寿司を食べながら徐に友達に呟いた。
呟いた瞬間に大将の視線が私の横顔を突き刺した為、「ここの店の寿司はまだ生きているが」と慌てて付け足したのは言うまでもない。
友達は玉子をはむはむしながら、面倒くさそうに表情のみで聞き返した。
「今や回転寿司という外来種によって、カウンターつまりは在来種が絶滅しかけているのだ。」
私は力強く返した。
勿論、回転寿司も日本発祥である。メイビー。
「こうやってカウンターに座り、大将の仕事に感動しながら食し、ぽつりぽつりと話しながら食べるのが粋ではないのだろうか。」
回らない寿司屋初体験の私は強く主張した。
友達はイカをはむはむしていた。
「あんな鮮度もひったくれもない、ボケた老人みたいに行ったり来たりしてる寿司を好む日本人なんてどうかしている。」
私は回転寿司でも一品一品注文する派である。
「もっとこういう寿司屋の素晴らしさを世間に伝えるべきなんだ、ねぇ大将。」
大将は米をしゃりしゃりと研いでいた。
そして私を一瞥すると、再び米をしゃりしゃりし始めた。
「私はもっとこう…」
友達はマグロをはむはむしながら、私のお茶を箸でがちゃがちゃかき混ぜた。
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