しんじない。

ソラ

しんじない。

雫は、一人涙ぐんでいた。

(もう人なんて信じない)


そんな気持ちにさせたのは、元カレの健吾。

健吾は雫の薄氷のような、やっと恋と呼べるような心を軽く踏みにじった。


付き合い始めてからまだ3か月。


強引な健吾の焦りだったように思う。


雫はその薄氷のような恋心を肉欲的圧迫で粉々に壊された。


雫自身のすべての純潔は、健吾に連れ去られてしまった。

強引に……


雫自身も健吾ならという淡い気持ちはあった。しかしそれは単なる恋心の想像の域で、現実ではなかった。


雫にしてみれば、すべてがレイプだった。


泣いた……。



******



健吾のどうしようもない肉体的欲求は、すべて雫への恋心とはいえ、それはそれだけの理由で絶対許さる行為ではなかった。


あの日以来半年、雫は学校に行っていない。


両親や姉妹には何も真実は言っていない。


ちゃんと生理が来るのか心配でもあった。


あの時はすべてがめちゃくちゃだった。


「ねえ、あの時必死で泣いて抵抗したのに、何で無理やりしたの?」


「ねえ、なんでコンドームも持つけずに、自分がしたいままにすべてを出し切ったの?」


「散々泣いて喚いた私の口を押さえつけてまで、何を奪いたかったの?」



******



半年後、ようやく、雫は学校に戻ってきた。


しかしそれは皆が腫物に触るかのような態度。


何も会話はなかった。


健吾は自主退学し、引っ越したという。


私は2ヶ月前に堕胎した……


高校2年の秋の出来事。


男なんて絶対信じない。近寄らないで。


女の子の友達も信用できない。


二人っきりにさせて、健吾を獣に代わるよう、はやし立てたの張本人は、共通の女の子友達3人組だったから。



*****



毎日泣いてるよ。


心の中で。


毎日泣いてるよ


夢の中で。


毎晩毎晩あの日の個室の昼がよみがえってきてはレイプされる。


いまだに……


いまだに……


いまだに……



いまだに……





私はこの十字架を背負って、一体どんな大人の女性になればいいの?




教えて。



FIN



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しんじない。 ソラ @ho-kumann

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