フランス映画版『桃太郎』他
ネコ エレクトゥス
第1話
フランス映画版『桃太郎』
昔々、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。お爺さんは山へ芝刈りに(山、男根の象徴。芝刈りすなわち自慰。ひとり言)、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
「わたしゃいかないよ。」
おお、女!汝、気まぐれなる猫の種族のものよ。
その間にも桃は流れてどこかに行ってしまいました。それなら桃は本当にあったのか?
Fin
三匹の仔豚
あるところに豚の夫婦と三匹の仔豚が暮らしていました。仔豚たちは両親の愛情をたっぷりと受けて丈夫で太った豚に成長しました。ある日親豚が言いました。
「お前達も一豚前になったのだからそろそろ家を出て一豚立ちしてはどうだろうか。」
仔豚たちはもっともだと思いそれぞれ家を後にしました。
長男は歩き回った末にある洋食店に辿り着きました。
「お願いです。僕は世界の役に立ちたいのです。仕事を世話してください。」
店主は納得してパン粉の準備を始めました。
「これはいったい何をするのです?」
「お前の寝床の準備さ。寒い思いをさせちゃいけないと思ってね。それではこの中にもぐり込んでゆっくり寝なさい。」
その後長男が目を覚ますことはなく、カツカレーになって天に召されました。アーメン。
一方次男は和食店にやって来ました。
「僕は自分探しをしているのです。自分とはいったい何なのでしょうか。それを知るにはどうしたらいいのでしょうか。」
「それには身の回りから余計なものを一切取り払って身を清めることだ。」
翌日次男はしゃぶしゃぶとなって身を清めたということです。南無。
三男は中華料理店までやって来ました。中に入ろうか悩んでいると店員が現れて有無を言わさず中に引きずり込み、身を削ぎ身を縛り、最後には全身をこんがりと焼いてしまいました。美味。
黒ずきんちゃん
ある日、黒ずきんちゃんはおばあさんを訪ねに森に行きましたがそこで迷ってしまいました。しばらく彷徨い心細くお腹もすいてきて泣きたい気分になっていると、まぁ、なんてことでしょう!目の前にお菓子でできた家が現れたのでした。
「チョコレートにケーキ、それに海鮮煎餅も!これって結構病みつきになるのよね。それに意外とカロリー高いし。食べ過ぎないようにしなくちゃ。でもその前にこの家って食べてもいいのかしら。私が食べちゃうと困る人がいるんじゃないのかしら。でも私お腹すいてるし。そもそもお菓子って食べられるためにあるんじゃないの?もし私が無事におばあさんの家に着いたらその時には倍の家を建ててあげるわ。それにさっきからあのミルフィーユ私に色目を使ってない?あっ、あのウィスキー・ボンボンおいしそう!」
このウィスキー・ボンボンを食べ過ぎたことが黒ずきんちゃんにとって運命の分かれ道でした。黒ずきんちゃんは人魚姫の泳いでいるような黒い海底の眠りに落ちていきました。
気が付いてみると黒ずきんちゃんはかがり火の焚かれた部屋の中で寝かされていました。周りでは七人の小人が香を焚きながら怪しげな呪文を唱えています。
「そうすると王子様がやって来て眠りを覚ますためにキスしてくれるんだ。それならガラスの靴を履いてくるんだった。そんなことより寝たふりしなくちゃ。」
何者かがコツコツ音を立てて近付いてきました。キスを待てずに黒ずきんちゃんが目を開けてみると、何とそこにいたのは太古の世界から来たかのような大烏ではありませんか!黒ずきんちゃんは尋ねました。
「あなたの目は何でそんなに光っているの?」
「それはいつもお前を監視しておくためさ。」
「あなたの羽根は何故そんなに黒いの?」
「それは世間の目からお前を匿うためさ。」
「あなたのくちばしは何故そんなに鋭いの?」
「それはお前を食べちゃうためさ。」
「ああ。」
その後黒ずきんちゃんは立派な魔女となり、箒にまたがって飛んでいるところをたびたび目撃されたということです。
フランス映画版『桃太郎』他 ネコ エレクトゥス @katsumikun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
訳あり物件/ネコ エレクトゥス
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます