登場人物紹介・裏版・下
ツェツィーリエ・バスラ―
死術士三人組(残りはヴァンとシャルロッテ)の一人。肉体改造の術会得済み?
不老不死の研究をするために、いろいろな陣営を行き来している。
忠誠ではなく、契約関係のような物なのであちこち移動しても裏切り扱いにはならない……そもそも信用されていないし。
性格は研究以外には極度にめんどくさがりや、話すのも億劫な位、そして外道……グレゴール司祭長とは別ベクトルでひどい事ばかりしている。
アーデルハイド、リヒテルが養っていた子供を影術士に、囚われていた腐敗神官やスヴァルト人捕虜を影の怪物に改造。
まさしくやりたい放題だが、戦力不足に悩むリヒテルがしぶしぶ黙認したせいでなんと、おとがめなしに……しかし調子に乗ってテレーゼに手を出そうとした所でヴァンの怒りを買い、脳みそぶちまけ拷問を受けて、強制的におとなしくされた……が全然反省しておらず、ブライテンフェルト会戦ではまさかの敵前逃亡(理由は飽きたから)……そして捕まって今度こそ殺されることに。
前述のようにサルでもできる反省ができない女、同じことを繰り返して、いくら普通の方法で死なないとは言え……恨みを買いまくっているくせに(単体での)戦闘能力は皆無。
攻撃系の術どころか護身術すら会得していない。
五百年間、何をしていたのか……むしろ良く死ななかったな。
セルゲイ・ルントフスキー
スヴァルトの騎士、ポジションはラスボスの副官。
所謂何も知らされずに巻き込まれて死ぬタイプのキャラクターだったが、例のごとくプロット段階でキャラクターの大幅削減を行った結果、最初から最後まで使いまわされることに……実は第一話でリヒテルに釘を刺しているスヴァルト騎士はこの人。
真面目過ぎて使いづら……く見えるのは陰謀ばっかり企んでいる上層部のせい、多分。
軍事でも内政でも取りあえずなんでもこなせて一定の結果を出せるのでどこでも重宝される。
スヴァルトのマリーシア、いやマリーシアがバルムンクのセルゲイ。ただし過度の期待は禁物、負ける時は負けるし、しくじる時はしくじる。
上司を見る目がない、と言うよりも上を盲信して諌めようとはしない。
スヴァルト人は階級思考なので上には絶対服従……の弊害だが、それを差し引いてもちょっと問題あり。
凡庸なミハエル伯、精神的にヤバいグスタフ、そしてエピローグでは主家の我儘に振り回され……ととにかく上に苦労しているのに「上の言うことなら信じる」と思考停止してしまう。
でも勝利者、戦争に勝っちゃったので問題なし。
モデルは傭兵ピエール、ピエールのもう一人の副官トマ、と華麗なる一族の熱血長男、鉄平を混ぜた物。
末期にはライフル自殺?……の後日談を書く予定はありません。
シャルロッテ・ゲネラノフ
親を殺され、奴隷にされた悲劇の少女……なのだが本人のアクが強すぎるせいでそんな感じはしない。
とにかくハングリー精神が強く、一章の対テレーゼ戦でも他の少女がビビっている中、一人だけ〈殺害上等〉の姿勢で臨んだ……おかげでグスタフの目に止まり、その後はトントン拍子に待遇が改善されている。
つまりは勝ち組、そしてエンディングで子持ち。
彼女の役割は所謂対比であり、テレーゼとは単純に同性のライバル。
そしてヴァンとは死術士……とグスタフ、リヒテル、各々の養父が子供を育てるとどうなるかを暗示している。
同じ混血という境遇、リヒテルに育てられたヴァンは理性的で任務に忠実、自分を大切にしない人間に、グスタフに育てられたシャルロッテは感情的で利己的、残忍、過剰な上昇志向を持つ人間となる。
うまく表現できていたか少し心配です。
モデルは田中芳樹先生の作品で良く出てくる〈気の強い女の人〉。
カリンとかアルフリードとか、タイタニア序盤に出てきたヒュ―イを売った婆さんとか。
ミハエル・アレクサンドル・ムラヴィヨフ
ボリス・ムスチラスフ・ゴルドゥノーフ
騎士・ローベルト
エドゥアルド・ゲラーシム・リューリク
この四人はひとまとめで紹介……簡単に言うと、スヴァルトと言うダンジョンの一階ボス、二階ボス、三階ボス、四階ボス。
スヴァルト人とはなんぞやと言う説明をも兼ねており、あんまり人格面では深く掘り下げられていない。
基本的にすごい所を見せて⇒バルムンクがいろいろ頑張る⇒やられる⇒バルムンクすげぇぇ!!……がリヒテルは四階制圧に失敗、シナリオが変化……ではなく 元々初めから敗戦エンドを目指していました。
独ソ戦や自由惑星同盟の最期のような末期戦を書きたかったので……。
エドゥアルド・ゲラーシム・リューリク
……ひとまとめとも思ったけど、やっぱりこの人だけは別枠で紹介。
スヴァルトの王、本当は公爵だけど実質的に(本当は自称)王なので陛下とか言われるめんどくさい立場の人。
基本的にスヴァルトのリーダーとして人種全体に有利になることしかしない、そのためには娘すらも殺す。
さすがに後悔はしているようだが、殺して置いて悔やまれても……という感じはする。
実は軍事以外では言われているほどすごくない人……貴族も、殺すと脅すか多額の報酬をちらつかせないと言うこと聞かないし、スヴァルト選民主義もあんまりうまく進んでいない。
軍事にしても、グスタフが手を回し、かつアールヴがいい感じに腐敗してなければ勝てなかった。
シュタイナーを重用するのは自分も凡庸だと理解しているからという裏設定アリ。
ちなみにこの人の役割もボリス公子と同じく対峙するバルムンクの伯をつけるため……なので凄い所を見せた後はとっとと死んでもらいました。
実はテレーゼ同様使いこなせなかったのが本当、すみません。
モデルはロシアのツァーリ、イヴァン四世……にいろいろな歴史人物のエピソードを加えて見ました。
リディア・エドゥアルド・リューリク
父親同様、全ての始まりを作った女……彼女が混血であるグスタフの子供(グスタフは見かけだけは完全にスヴァルト人、隔世遺伝で子供はアールヴ人の容姿)を産んだことで父親に殺害され、その事件でグスタフが歪んでしまったのが本当のオープニング。
ちなみに回想で出てくる彼女の病気は妊娠、リヒテルがグスタフにお前のせいと言ったのは、お前が孕ませたんだろという意味。
彼女はウラジミール公の長女、当時既にウラジミール公は高齢で、かつ男子がいなかった。
場合によっては彼女の子供(男子)が次期ウラジミール公、つまりはスヴァルトの頂点に立つ可能性が出てくる。
しかし、選民主義でプライドが高い純血のスヴァルト貴族が混血の〈王〉に黙って従うはずがない、その反発を防ぐには……。
実は殺害という方法以外にもいろいろと解決方法(グスタフが言った子供を認知しない、あるいは私生児扱い)もあったのだが、子供の将来を良い物にしたい母親としての感情を抑えきれずに嫡子として認知したため(認知されなかったり、私生児扱いではスヴァルト社会では運が悪ければ一生日陰者扱い)、最終的にリディアは磔にされることになる(ちなみに子供は行方不明、グスタフは母親と共に殺害されたと判断)。
この作品には鬼畜な家族にひどい目に合う人間が山のように出てくるが、彼女はその中でもぶっちぎりで悲惨な人物であった。
グスタフ・ベルナルト・リューリク
本作品のラスボス……一章から最終章までかかさず出現し、邪険にされているのにやたらと付きまとってくる。
リヒテルがぼっち総統ならば、この人はストーカー貴族。
血縁構成が入り組んでいる人。
テレーゼの父親の、愛人(前妻ではない)の子供なのでテレーゼとは腹違いの兄、その関係でテレーゼの母、アーデルハイドの義理の息子、リヒテルとは義理の叔父甥(グスタフの方が年上だが甥)。
そしてグスタフの母親が別な男の間に作った子供がヴァン、グスタフの種違いの弟がヴァン……とてつもないややこしい(グスタフを間に入れると、テレーゼとヴァンは義理の姉弟になる)。
妹テレーゼに対する態度と弟ヴァンに対する態度が章が過ぎるごとに極端に変わって来る。
グスタフは基本的にかまってくれる人間が好きなので、「この裏切り者!!」とか言われると「俺の事か?」とちょっと嬉しかったり……そのせいか、かまってくれるアーデルハイドやテレーゼにはかなり甘い、場合によっては助勢までする(リヒテルに関しても同じだが、彼の場合、ライバルでかつ、立場上殺さねばならないので手心は加えない)。
逆に何度もちょっかいかけているのに、ただの敵としか扱ってくれないヴァンにはかなり冷たい……。
作中では序盤は黒幕としていろいろと策謀、バルムンクに反乱を起こさせたり、ボリス公子を暗殺してその後釜になったりと計画通りに進むが……アーデルハイド救出に失敗した辺りからだんだんと計画が狂い始めて、最終的には一発逆転で竜に変身するが目玉おやじになってしまい(死術士じゃないのに大魔術を使ったせい)、ヴァンとテレーゼに冥土送りにされたが……死んでからもリヒテルに粘着している、いい加減にしなさい。
モデルは銀河英雄伝説外伝に出てくる裏切りの騎士、ヘルマン・フォン・リューネブルク。
基本的にこの作品では両勢力に弾圧される混血のキャラクターは何かしら歪みを抱えているように設定しています。
ヴァンは自己を顧みない諦念、アマーリアは病的な保身と臆病さ、そしてグスタフは過剰な上昇志向。
ただしシャルロッテだけはやや例外……グスタフに拾われて以降、彼女の周りには彼女を不当に扱う人間がいなくなったから。
上記の三人は……育てた親がロクデナシだった、そしてその後も……混血だからおかしくなるのではなく、混血の周りにおかしい人間が多いからおかしくなる、その逆はない。
深霧のザーイエッツ 山崎 樹 @16161912
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