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さっきまで辛そうにしていた女の子は、よく見ると僕のクラスメイトらしい。クラスメイトなんて、うるさくてマナーが守れない奴ばかりだったから興味なんて持っていなかった。
「きみ、名前は?あ、俺は三津川 伶。」
僕よりは人とコミュニケーションを取るのが苦ではない三津川が、女の子に名前をきいた。
「疋田 かほり あと、さっきはありがとう」
…確かにそんな名前を年度の初めに名簿で見かけた気がする。
『ああ…うん、どういたしまして、僕は中原 爽良…あ、マスター、バナナシェイクください』
とりあえずバナナシェイクをかほりさんに持ってきてもらうようにお願いした。
マスターのバナナシェイクはすごく美味しいから、きっとかほりさんも少し心が落ち着くだろう。
『そういえば、何かあったの?すごく辛そうだったけど…』
「なんか、道を歩いていたら、わけも分からず涙が止まらなくて、泣き止まなきゃって思ったら余計焦って呼吸が苦しくなって」
これは少しまずいんじゃないだろうか。僕も以前こういうのは経験した事がある。原因が知りたくて調べると、どうやらストレスが溜まりに溜まるとこうなるらしい。
……助けてあげたい。そう思った僕はかほりさんに話をきいた。
『最近、なにかすごいストレスを感じたりした?』
「あ、今日、周りの人が、スマホを授業中にいじってて注意したら逆ギレされて、あの、」
その事を思い出したのがきっかけとなって、かほりさんがまた苦しそうな呼吸をする。
僕と同じこと思っている人がいたんだなあ、と心の中でなぜか感動しながらかほりさんのせなかをさすっていた。
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