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そんなこんなで授業が終わり、部活の時間となった。そこでもまたストレスたっぷりなのだ。



僕は、吹奏楽部でファゴットを担当している。中学のとき、シブい見た目と腹に響く音に惚れて希望した。



中学を卒業し、僕がこの高校に入学したときはそれほど上手いわけでもなく、ゆるい部活だと聞いていたので、まあゆるゆると頑張ろうかな、とノリで入部。

なんとなくノリで高校でも続けていたのだが、最近やたらと顧問の気合いが入ってきたようで、ゆるゆるの『ゆ』の字もない。オフがない。




僕も一応2年生だし、大学進学を考えているのでオープンキャンパスに行かなければならないのだが、顧問にその事を話すと、眉間にしわを寄せ『部活がない時に行けないのか』

と言ってくる。

出来るならそうしたいものだが、出来ないから休むのだ。


この顧問の、いや吹奏楽部独特の雰囲気、


『休む=サボる』


という根拠も何も無い方程式が僕は大嫌いだ。


青春の1ページに全力を尽くすのもまあ、いいだろうとは思うが、僕はそれでその後に仕事人生3~40年を棒に振るのは御免だ。


みんなが皆、部活第一で行動している訳でもないし、皆同じ進路に進みたいわけでもない。


部活第一が当たり前、と思い込んでいる顧問にもイライラするのだが、それを説得できるだけの理由を持ちながらも反論出来ない自分にもイライラしていた。






言いたいのに、言えない。


これがきっと、僕のイライラをますます大きくしているのかもしれない。

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