ウサギの避難民

港の町のインバの海に小舟が現れた

その数は10隻


各舟にはオオカミ族が満載されていた

ウサギ族の兵隊が灯台から矢を射かけると


オオカミ族の群れは海に飛び込んだ

泳いで町に近づいてくる


元々オオカミ族は山の民であった

舟にも乗らなければ、海を泳ぐなんていう習慣はない





城壁の方でも、それに呼応して

オオカミの群れの攻城戦が始まった


しかし、これまでと違う点があった

農業の町クラナの砦を攻めた時に使用した梯子を準備している

梯子は以前のものより大きく、数も多かった


50台近い梯子を城壁に駆けると

オオカミ族の群れは一斉に駆けあがった


門は最初から破る気はなかった

この結果へ導くための陽動であった


港からやってくるオオカミの対応に追われ、

城壁には普段の半分のウサギの兵士がいるのみであった

次々登ってく来るオオカミ族を防げず

城壁はあっさり突破された

場内にいた500人の兵士は次々殺されて行った




しかし、オオカミ族を率いるタキの予想を裏切る出来事があった

の統領のメヒジがこの町にいない

そして、何よりウサギの民が全くいなかった





この前日、

港町インバにヤロの部隊からやって来たウサギ族の部隊がやってきた

その数はウサギ隊長ワコカを含めて数名

100名いた部隊は、昼夜を問わず走り続ける中、途中で倒れ者、

オオカミ族に襲われた者もいた

最後の気力で何とかたどり着いたワコカは、

統領メヒジにインバの町はこのままでは防ぎきれない事を伝えた


一部の走れる民は夜の内に町を抜け、走れない民は船を使って町を抜けた

船は、民でいっぱいになった


ヤロの部隊に合流するため、避難民は海岸線をすすんだ





夜が明ける頃、オオカミの城攻めが始まり、

現在の惨状に至る

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