ウサギの逃散

ヤロはタキの群れを見て焦っていた


タキの群れの数が少ない

1000人程度しかいいない、

あと500人はどこへいったのか


恐らく


私たちの背後にすでに回っている




ヤロはすぐに進軍をやめて、ウサギ族の斥候を放った



タキの群れは、ヤロが進軍をやめるのを見て

ジワリジワリと両軍の距離を詰めてきた


ヤロは、まったく交戦をしないまま退却を指示した


それを、見てオオカミの群れが追撃を始めた





1人の斥候が、ヤロの元に戻ってきた

『オオカミ100人が森の中に隠れています』

ヤロは、背筋が凍った

森を通って逃げていれば、全滅していた


ヤロとウサギの部隊は

森には入らずそのそばを、駆け抜けた

その際に森に火を放つと

オオカミ100人はすぐに森を抜けて

追撃の群れに加わった




森を避けて、ヤロ達は逃げた


森の伏兵は、存在に気付かれたと分かると

次々と追撃の群れに加わっていった

新たに加わった追撃の群れは疲れていない




ヤロとウサギの部隊は必死に走った

幸いウサギ族は長距離を走る事に適していた

問題は唯一のオオカミ族で彼らを率いるヤロだった


ヤロ倒れた

『もう走れない』

ウサギの部隊は大きな体のヤロを10人がかりで交代で担いだ


走り続けた



オオカミ族とウサギ族の根くらべ

1日中走ったところで、ようやく追撃の群れは完全にいなくなっていた



ヤロはウサギの部隊に言った

『ありがとう

 申し訳ない、私の作戦が失敗した』






その頃タキは港町インバに到着していた

追撃に参加していたオオカミの群れも続々と加わり

この時点で、1000人に達し、

オオカミ族が今まさに港町インバに攻撃を始めようとしていた





ヤロの部隊は、インバから遠く離れ、3日はかかる場所にいた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る