オオカミ同士

ヤロは

タキの群れへ行った



彼らは農業の町クラナの近くの森で野営していた


森の中ではウサギ族の得意とする弓は不利であった

対して、長い槍は木の上まで届いた

ここで多くのウサギ族が犠牲になった




タキに会ったヤロは言う

『私は、この群れに加わる者ではない

 オオカミとウサギの調和を求めるものだ

 ウサギ族はこれまでの行いを悔いている

 オオカミの奴隷はすべて解放される

 オオカミの国に帰ってはくれないか

 毎年オオカミに貢物もすると言っている』


タキは若いヤロに言った

『お前はインバの奴隷だろう

 このクラナでは、多くのオオカミが鎖でくくられ

 奴隷として働かされれ、ウサギに殺された

 私の子供が殺された

 私の妻も、もう殺されている事が分かった

 今度は我々が殺す番だ

 お前にはわからない』



ヤロは交渉は無理と考えた



ヤロの去り際にタキが叫ぶ

『私はウサギを全員殺すつもりだ』


ヤロは大声で答える

『気持ちはよく分かる、しかしその憎しみ、次に向かうはあなたぞ』


タキはヤロが群れに必要だと感じた

捕まえようかと考えたが

ヤロは農業の町クラナを横目に港の町インバへ走っていった





ヤロはインバの町に戻り

ウサギ統領のメヒジに交渉の内容を話した

そして、町のオオカミ族の奴隷を解放した


ヤロは話した

『オオカミとウサギが仲良く暮らせる世の中こそが求める世界だ』

タキのやろうとしている事、ヤロの考え

それを聞いたオオカミ族の奴隷の中の一部が賛同し

200人のオオカミの部隊が作られた



しかし、ほとんどの奴隷は解放され町を出て、

オオカミの国へ帰っていった



農業の町クラナの奴隷たちはタキ達によって解放された

彼らの多くはタキの考えに賛同し、群れに参加した

そして、オオカミ族のの群れの数は2000人を越えるほどに達していた


とりわけクラナの奴隷のウサギ族への恨みは大きかった

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