お笑いコンテスト

笑福心経の一説

 細過最笑(サイカサイショウ)

 ……ボケの方法

   強く受けるものは、一部にしか受けないときがある






お笑いのネタのコンテスト

決勝の5組まで残った

テレビでも放送される



大きな拍手で『まんなかランド』のネタが始まった

結構期待されてるのに驚く


何度も繰り返した冒頭の一言はもうトラウマだ

不自然に力を抜いて発する

「今日はどうされました」


相方が答える

「奥歯が痛見むんです

 診てもらっていいですか」


『歯医者は阪神ファン』のコントが始まった


「じゃ診ていきますね」

「あっ、今日餃子食べられました?」


「いえ」


「あ、そうですか」


「臭いなら、臭いって言ってよ」


「あ、いえ、何となく

 歯並びいいですね

 でもホワイトニングとかした方がいいですよ

 少しくすんでますね

 あー確かに奥歯に虫歯ありますね

 のところですね」


「変な言い方しないでください

 右の奥の上の歯の事ですよね

 先生、野球好きでしょ」


「野球好きですね

 親知らずは抜かれてますか?」


「いや」


「おかしいな

 じゃ知らず知らずの間に抜かれてますね」


「知らず知らずってなんだよ

 だから、親知らずあるはずですよ

 姉が親知らずの治療で苦労してたんで、ちょっと気になってます

 ここって親知らず抜くのもやってくれますか」


「そうですね

 でも

 ちょっと普通より状態が難しそうですね

 私ではダメであれば、別の病院に……

 わかりやすく言うと

 代打桧山になりますね」


「先生、阪神ファンなんだね

 私もですよ」


「それより

 あー他にも

 ありますね

 怪しのが2本と治療が必要そうなのが2本

 でツーエンドツーですね」


「野球ね

 ははは

 そうですか」


「奥の下の歯も虫歯になってますね

 程度で言うとC2ですね

 アンディーC2ですね」


「はははは

 阪神の2005年のリーグ優勝選手ですよね

 打って守れるアンディ・シーツでしょ

 大丈夫ですよ、私はわかりますよ」


「あれその隣も虫歯かな

 どっちだ、どっちもどっちだな

 まあいいか」


「今、まぁいいかって言いました?

 ちゃんと見てくださいよ」


「今日は、歯石の除去をしていきますね

 痛かったら手を挙げてくださいね」


「あ、これ

 手上げても何もしてくれないやつでしょ」


「そうですよ

 いきますね」


「ちょっと待ってください

 手あげる意味ないじゃないですか」


「いや

 実は、治療の目印なんですよ

 歯の位置を知る

 ここから神経があるとかないとか

 わかりやすく言うと

 川尻のヒゲなんです

 どこが顎なのか、顔と首境目を見てるんです」


「さっきから例えが、阪神

 確かに川尻の顎ないですけど

 ヒゲあるから多分ここかなって

 失礼だなー」


「それじゃ歯石とっていきますね」

 ギーン、ギーン


「あー

 あー

 ちょっと待って

 すごく痛いんですけど

 あー、ちょっとやめて」


「あれおかしいな

 痛かったでしたか?

 私、見た目はゴツいけど、こう見えて治療は丁寧だって言われてるんですけど

 わかりやすく言うと

 関本の守備率ぐらいですね」


「体はごっついけど

 丁寧な守備をする関本でしょ

 わかりやすいけど

 私しか分からないでしょ

 でも、全然丁寧じゃなかってですよ

 すごい痛かったです」


「そうですか……

 後は、今日、虫歯のとこを詰めて終わりです」


「あの、ホワイトニングもお願いしたいんですけど」


「もう1イニングですか?」


「もういいよ」






優勝はできんかった

面白いやつは沢山いる

でも、一部の人からはよくウケたそうだ



決勝に残れたのは大きな自信になった



「コンテストで歯医者の話は、あかんかったんちゃう」

俺がそう言うと


相方が答えた

「敗者(歯医者)だけにやろ

 それより、ネタがちょっと細か過ぎたな

 テレビでやったらあかんやつや

 仕事減るで」


「そんなん、今更言うても、

 シカ(歯科)たないやろ」



「最近調子ええな

 修行の調子はどうや……」

お笑い教を毛嫌いしていた相方が言うたセリフ

次に切り出したのは、これまでとは真逆であった

「お笑い教に興味ある

 ちょっと教えてくれへんか」

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