お笑いの技術者

笑福心経の一説

 大阪皆知(オオサカカイチ)

 ……面白いとは確率である。大阪人はみんな知っている






相方はお笑い教が嫌いだった

そんな相方が、お笑い教に入りたいいと言う申し出をして来た


教祖に合わせる前に、お笑い教の基本的な所は俺が教えた

その気持ちを確かめる目的もある


相方は俺の話を一通り聞くとこう言う

「これは、宗教やない。でも、確かに、凄い」


相方のリアクションは少し腑に落ちない



うちの相方の名前を『サカイ』と言う

株式投資を趣味としてやっていて、難しい事をよく知っている


そして、お笑い教の事をこう評価する

「世の中に役立つ仕組みを持ってる」

こいつが、株式投資でいい銘柄を見つけた時に使う言葉だ




特に注目していたのは

ボケに方法がある事だ


これにより、お笑いの修行の方法が確立されている


しかし、方法があるという事はさらに、

お笑いというものを定義し、演算できる可能性を示してるのだと言う

要はPCに演算させ、面白い回答を導かせる可能性があるらしい


私が毎日メモを取ってる作業なんて直ぐになくなると言う

「PCに学習させれば、もっと膨大で緻密なデータベースを構築できて、これまでの作業は無駄になる」



俺は、正直、気に入らなかった



さらに相方はこう続けた

「お笑い教は科学だ、道具だ」



その一言に俺は腹が立ち、熱く反論した

「そういう一面もあるかもしれない、

 しかし、真面目に修行していれば面白くなれる

 これは、お笑いの神様は確かにいるからなんや」



相方は答える

「すまん

 お笑い教を非難しているわけじゃない

 ただ、この仕組みをより良いツールに

 ヴァージョンアップしたいだけなんや」



ツールという言い方が気に入らなかた

「お笑い教の神様はいる

 今の俺がその証明や」



相方は困った顔をする

悪い奴じゃないのはよく知っている

そして、相方は天井を見上げてから一瞬動きが止まり

次の瞬間大きなクシャミをした

「ハックションーーー」


あまりの大きさに、険悪な雰囲気が少し和んだ

「ハハ、ごっついな」

俺がそう言った直後


「ゴーーーーーン」


頭の上に何かが落ちて来た

それは、大きなヤカン


夏に麦茶を沸かす俺の家で一番大きいヤカンだ

冬の間は食器棚に置いていており、それが上から落ちて来た


その偶然に2人で笑った

ヤカンは、黄金色の丸く大きいヤカンであった






相方をお笑い教の寺院へ連れてきた


教祖の話を聞いた後、相方は、教祖に自分の考えを話すと言う。

そんなもの、教祖も俺と同じ事を感じるだろう、そう思ったが




話は順調に進み

今度、PCによる演算を得意とする会社の担当者も交えて打ち合わせをする事になった




もっぱら、電車が好きの教祖が車を購入していたのでどう言うやり取りがあったのか想像がつく

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