お笑い教(あらすじ)

坊主の味方

笑福心経の一説

　皆呆皆突(カイホカイトツ)

　……みんなでボケて、みんなで突っ込みなさい

仲のいいお笑い芸人で沖縄に遊びに行くというロケ番組に参加した

そこで番組のプロヂューサーが極々正論を言った

「最近、坊主の芸人が増えたな

　キャラが被るんは困る

　正直、同時に2人出られるのはきつい」

そして、今、番組収録の現場には４人の坊主芸人がいた

知る限り、また一人増えている

お笑教が広がっていた

プロデューサーの意見に大いに賛成した

4人の中で最も年長の相方が謝った

「すんません」

続いて後輩芸人たちも謝った

「いや、僕が悪いんです」

「すいません」

「ホンマ、すいません」

プロデューサーが言った

「番組として、やりにくい

　視聴者は判りずらいと感じる

　坊主やめれんのか」

「すいません」

相方が答えた

「謝ってもらってしょうがない、番組から降りてもらう」

相方が言った

「僕が降ります」

続いて後輩芸人たちも謝った

「いや、僕が降ります」

「すいません」

「ホンマ、降りるんは僕です」

プロデューサーは、謝る4人をさえぎった

そして、感じた

この坊主達は意外とおもしろい

「いや、すまん、俺が悪かった

　なんでもない、さあ、収録を始めよう」

4人の坊主たちが

頭に塗る日焼け止めを分け合っている様子に

「やっぱり、おもしろい」

そう言ってプロデューサーは興奮した

収録はバナナボートに乗る坊主4人を枝豆だと言って盛り上がった

しかし、一番面白かったのは、相方の観光地に関する話だった

『潮吹き穴っていうの観光名所行ってきたんよ

　波が来るたびに、潮が吹きあがるんです

　ドゥバーって』

『下手ネタですか』

俺が合いの手をいれた

『下手ネタ違うよ、真面目な話

　特に満潮の時はすごいいんよ

　吹いて吹いて

　来てるお客さんビッチョビチョになるんよ』

『なんかエロい話ですね』

『下ネタちゃうって言うてるやろ

　ホンマに

　おもしろい現象やなーって

　うちの近くにも同じようなスポットないかなって調べてみたら

　あったんよ

　朝立彦神社っていうのが

　これ、観光地として

　提携したら面白いんちゃうかな』

『いや、下ネタですやん』

みんなで突っ込んだ

放送は、地方のテレビ局の割には調子が良かったそうだ