I know you

思い起こせば、私が小さかった頃、想像していたセックスというものは、神聖で美しいものだった。二人が抱き合って、そのまま天に昇るような気持ち良さの中に、相手の存在を認識し合う行為だと思っていた。


数年後、現実には、男の人が女の人の上に乗って腰を振り続ける行為だと知った時には、幻滅し、とても寂しい気持ちになった記憶もある。


中学生の私に日本の社会は辛く、死にたいと思い続けていたものの、ロマンチストの私はきっとセックスってやっぱり凄く素敵なものなはずと思って、初体験をするまで死ねない、なんて馬鹿な事を思っていた。


時は過ぎて、初体験も寂しくあっけない感じに終わり、付き合っていたというだけでしてしまったという空っぽの気持ちで結構ヤケになっていたと思う。セックスからも見放されたし、もうこの頃には死ぬ勇気もなかった。



でもね、今回貴方と愛を確認して、はっきり思い出した。あり得ないような神聖な行為、悪いことをしている気持ちになるはずもない。だって、それは私たちの形だったと思う。お互いの事を熟知した者同士の安心感。体が同じ鼓動を打つ。だってお互い相手に合うように出来ているから。



神さまって不思議。

若い頃にこんなセックスしていたら、ちょっとまずかったかも。


でも、流石なのは今のタイミングで思い出させてくれたこと。




貴方を初めて見た瞬間から、結婚っていう言葉が出てきたのには、こういう事だったのかな。あのあと一度だけお願いするような形で大したこともないセックスをしたのに、記憶にずっと残っていたのも理由があったのかも。貴方を見るだけで濡れてしまうのも納得する。




でもね、この世で私は今の夫と出会って結婚する運命だったという事もはっきりとわかっている。どういう理由からか、何処かの前世で「今度会ったら絶対に一緒になろう」って約束した仲なの。


貴方とは完璧すぎるほどの結婚生活をすでに満喫してきた気がする。だから、幸せに終わっているはずなの。


貴方を横にしてちょっと歩いた時にも感じた。あ、私、この人とたくさんお散歩したかもって、夫婦として。一緒にいて感じる安心感と心地良さは残ったまま、今お互いを助けるために、また呼びあったのかしら。




貴方みたいな人と私が会ってるって、夫は勘付いていると思う。最近凄く正直に話し合って、「何でこういう考えにたどり着いたか知りたい?」って聞いたら、「I think I know, あと10年位したら、話して」って言われた。なかなか出来た人でしょ?


あともう一つ。私、貴方の前では見栄を張りたがっていることを感じていた。「大丈夫、今の私、貴方がいなくても、しっかり幸せに頑張っているから。」って、まるで自分に言い聞かせるように見せたがっている気がする。


でもね、実際に私、今めちゃくちゃ幸せ。貴方にまた逢えて、夫にも自分を理解してもらえて。



今回どのような理由で、今また結ばれたかはわからない。だけどこのまま当分一緒でもいい気がする。運命というものは真面目に向き合って、逆らってはいけないもの。


会社の近くで会った時に、私、「家出したら、連絡するね。」って言ったら、「その時は囲ってやるから。」って言ったの覚えてる?不思議な事を言うなぁ、って嬉しいながら思ったんだ。まだセックスもしていないのにね、笑。

貴方と私、今、一緒に生活をしても違和感ないだろうって、無意識に感じたのかなぁ?私もそう思う。




だから、押し付けるつもりは全くないけど、I know you and I love you. Forever and always.


やっぱりやり残した事があったみたいだから、いっぱい愛し合おうね。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る