君
何が嫌というわけではないけれど
僕は全て嫌だった。
話を合わせるためだけに見たくもない番組を見て
協力プレイのためだけにやりたくもないゲームをやって
みんなやっているからと部活に入り
独りじゃなくなった途端に道連れにした人を捨てていく
みんな嫌だという顔をしていいよとい言う。
みんな辛いという顔をして大丈夫だと言う。
そんな嘘だらけの世界が嫌だった。
そんなくだらない嘘にまみれた自分が嫌だった。
できることなら全てを捨ててどこかに落ちてしまいたい。
君は僕の顔を見て
一瞬驚いて
悲しそうに微笑んだ。
バレた
嘘をつくのが上手になった僕。
嘘を見極めるのが下手くそになった世界。
それでも君は僕の中の僕を見つけた。
もう、いいや。
心が叫べは君は背中をさすってくれる
頬を撫でてくれる
なにも言わなくても君は僕を抱きしめてくれる。
僕がはじめて自分から君に縋った時
君は少しだけ嬉しそうだったね。
それから僕は君の優しさに隙を見ては君に甘えて生きていた。
僕が生きやすい世界になれば、それでよかった。
そう思っているけれど、君の優しさが熱で伝わるのが
どうしようもなく心地がよかった。
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